ラット肝カルボキシルエステラーゼの性ホルモンによる調節

「目的」演者らは, 既にラット肝ミクロゾーム画分よりカルボキシルエスチラーゼ(CEase)の3種のアイソザイムを精製し, 基質特異性および免疫化学的特性の差異を明かにした(1). さらに, 本酵素活性の性差や, 性ホルモンによる制御機構がアイソザイム間で異なることについて詳細な検討も行なっている(2). これに関連して, 近年ラット肝薬物代謝酵素の性ホルモンによる調節に, 新生仔期のテストステロン(TS)の存在が重要であることが示唆されている. そこで, 演者らはラット肝CEaseの性ホルモンによる制御機構に新生仔期のTSがいかなるかかわり合いをもっているかを知る目的で, 新生仔期に去勢を行な...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1987, Vol.90 (2), p.150-150
Hauptverfasser: 村田尚一, 細川正清, 佐藤哲男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」演者らは, 既にラット肝ミクロゾーム画分よりカルボキシルエスチラーゼ(CEase)の3種のアイソザイムを精製し, 基質特異性および免疫化学的特性の差異を明かにした(1). さらに, 本酵素活性の性差や, 性ホルモンによる制御機構がアイソザイム間で異なることについて詳細な検討も行なっている(2). これに関連して, 近年ラット肝薬物代謝酵素の性ホルモンによる調節に, 新生仔期のテストステロン(TS)の存在が重要であることが示唆されている. そこで, 演者らはラット肝CEaseの性ホルモンによる制御機構に新生仔期のTSがいかなるかかわり合いをもっているかを知る目的で, 新生仔期に去勢を行ない, 成熟期CEase活性の性差発現への影響について検討した. 「方法」SD系雄性ラットを生後24時間以内に去勢し, 一部の去勢ラットにはTSを投与した. すべてのラットは8週齢時に9殺し, 新生仔期に去勢した群については, 犠殺前7日目連続TS(5mg/kg)を投与した. CEase活性の測定はp-Nitrophenylacetate(PNPA), Isocarboxazid(ISOC), ButanilicaineおよびPalmitoyl-CoAを基質として用いた. 「結果・考察」ISOCとPNPAを基質に用いた場合, 成熟期の雄去勢ラットにTSを投与することにより正常レベルまで回復したが(2), 今回用いた新生仔期に去勢した群では犠殺前にTS投与したにもかかわらず, CEase活性の回復はみられなかった. しかしながら, 新生仔朋去勢直後にTSを投与した群ではIntactの雄のレベルまでCEase活性の回復が認められた. 従って, これら2種の基質を用いた場合のCEase活性の性差の発現には, 新生仔期のTSが重要な役割を果している可能性が示唆された. また, 生体内基質であるPalmitoyl-CoAを基質に用いた場合にもPNPAの場合と同様の結果が得られ, 長鎖脂肪酸エステルの水解においても新生仔期のTSの重要性が確認された. これに対して, Butanilicaineを基質にした場合には上述の傾向は認められなかったことから, CEase活性の性ホルモンによる制御機構はアイソザイムによりかなり異なることが明かとなった. 1)M.Hosokawa,T.Maki and T.Satoh,Mol. Pharmacol., in press(1987). 2)M.Hosokawa et al., Res.Commun.Chem.Pathol.Pharmacol., 46,245-258(1984).
ISSN:0015-5691