Phenolとその関連物質の膜作用について
phenol,guaiaco1,m-cresolの膜作用について,生体膜としてラットの赤血球と単離肝細胞,人工膜としてdipalmitoyl phosphatidylcholine (DPPC)のリポソームニ重膜を用い検討した.また,これら薬物の表面張力におよぼす影響についても実験を行い,膜作用と界面活性作用との相関を検討した.ラット赤血球の低張性溶血において,phenolは10mMで溶血抑制傾向を示したが有意ではなかった.guaiaco1は4~10mMで,m-cresolは0.6~10mMで有意な溶血抑制を認めた.ラット単離肝細胞に対する被検薬物の作用は酵素逸脱を指標として検討した.GOTの...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1987, Vol.89(4), pp.235-241 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | phenol,guaiaco1,m-cresolの膜作用について,生体膜としてラットの赤血球と単離肝細胞,人工膜としてdipalmitoyl phosphatidylcholine (DPPC)のリポソームニ重膜を用い検討した.また,これら薬物の表面張力におよぼす影響についても実験を行い,膜作用と界面活性作用との相関を検討した.ラット赤血球の低張性溶血において,phenolは10mMで溶血抑制傾向を示したが有意ではなかった.guaiaco1は4~10mMで,m-cresolは0.6~10mMで有意な溶血抑制を認めた.ラット単離肝細胞に対する被検薬物の作用は酵素逸脱を指標として検討した.GOTの逸脱に対してphenolは0.001~0.4mMと2~10mMで逸脱抑制を示したが,1mMの適用では偏差が大きく抑制傾向を認めたものの有意差はなかった.guaiacolは2~10mMで逸脱抑制を示した.m-cresolでは0.001~4mMまで逸脱抑制を示し,10mMでは著明な促進を認めた.GPTの逸脱に対して,pheno1は0.01mMから逸脱抑制を示し,phenol 0.4~10mMとguaiacol 2~10mMでは用量に応じた有意なGPT逸脱の抑制を認めた.m-cresolでは0.001~4mMで逸脱抑制を示したが10mMでGOT逸脱と同様に著明な促進を認めた.LDHの逸脱に対して,phenolは0.001mMと0.1~1mMで抑制を示した.m-cresol 1mMにおいても抑制を示したが,これの10mMとguaiacol 10mMでは促進がみられた.DPPCリポソームの液晶相↔固相間の相転移温度に対して,phenolは1~10mM,guaiaco1は5,10mM,m-creso1は1~10mMで有意な低下を示した.表面張力は,phenolでは明らかな低下を示さず,guaiacol 1,10mM,とm-cresol 10mMで有意な低下を認めた.膜作用の強さはm-cresol>phenol≥guaiacolの順であり,フェノール係数の強さとよく相関したが,界面活性作用との間に相関々係は認められなかった. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.89.235 |