虚血心筋の収縮機能およびエネルギー代謝障害に対するニプラジロールとプロプラノロールの作用の差異
虚血心筋エネルギー代謝障害に対するニプラジロール(10μg/kg/min iv)の血管拡張作用の効果を明確にする為, 同程度のβ遮断作用を示すプロプラノロール(20μg/kg/min iv)の効果と比較検討した. 麻酔開胸イヌ心臓を用い, 薬物注入5分後より, 冠灌流圧30mmHgの冠狭窄を10分間行った. 冠狭窄により, 冠血流入量は1/3以下に減少し, 両薬物存在下でも有意の差はなかった. 虚血部の心筋収縮力は約30%低下し, ニプラジロール群でも同様であったが, プロプラノロール群では抑制はより著明であった. Cardiac Effort Index(平均血圧×心拍数)は両群とも30-4...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1987, Vol.89 (2), p.116-116 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 虚血心筋エネルギー代謝障害に対するニプラジロール(10μg/kg/min iv)の血管拡張作用の効果を明確にする為, 同程度のβ遮断作用を示すプロプラノロール(20μg/kg/min iv)の効果と比較検討した. 麻酔開胸イヌ心臓を用い, 薬物注入5分後より, 冠灌流圧30mmHgの冠狭窄を10分間行った. 冠狭窄により, 冠血流入量は1/3以下に減少し, 両薬物存在下でも有意の差はなかった. 虚血部の心筋収縮力は約30%低下し, ニプラジロール群でも同様であったが, プロプラノロール群では抑制はより著明であった. Cardiac Effort Index(平均血圧×心拍数)は両群とも30-40%の減少を示した. 左心室拡張終期圧(LVEDP)は約4mmHg上昇し, プロプラノロール存在下では約9mmHgとさらに著明な上昇を示した. 一方, ニプラジロール存在下では, 冠狭窄しても約1mmHgの上昇しかみられず, 内的仕事の減少を示した. 虚血心筋のATP減少(30-20%, 内層-外層)は, 両薬物群で正常値に改善された. それは, 主に外的仕事の同様の減少によるであろう. 虚血心筋のエネルギー代謝の予備力の点からみれば, LVEDP上昇の著明な抑制で示される, 前負荷の減少が重要で, 虚血心筋におけるクレアチン燐酸の減少(75-60%)や乳酸の蓄積(6-3倍)は, ニプラジロール群でのみ有意に改善された. |
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ISSN: | 0015-5691 |