Na^+ ポンプにおけるウアバイン非感受性ATPase活性

強心配糖体(Ouabain)の受容体とされているNa^+ ,K^+ -ATPaseとouabainの相互作用を解析するため, 反応中の分子構造変化が検出できる蛍光性SH試薬N-「p-(2-bonzimidazolyl)phenyl」male-imide(BIPM)で修飾したブタ腎のNa^+ ,K^+ -ATPaseをトリプシン処理(T)し, 種々の反応に及ぼすouabainの効果を検討した. Mg^2+ ,Na^+ ,K^+ 共存下でのATPase活性は, コントロール(C)標品に比べ, T標品では約20%に減少したが. リン散化酵素(EP)量, ouabain結合量はそれぞれ約70,90%残...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (4), p.344-344
Hauptverfasser: 井上哲, 谷口和弥, 下河辺宏功, 飯田正一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:強心配糖体(Ouabain)の受容体とされているNa^+ ,K^+ -ATPaseとouabainの相互作用を解析するため, 反応中の分子構造変化が検出できる蛍光性SH試薬N-「p-(2-bonzimidazolyl)phenyl」male-imide(BIPM)で修飾したブタ腎のNa^+ ,K^+ -ATPaseをトリプシン処理(T)し, 種々の反応に及ぼすouabainの効果を検討した. Mg^2+ ,Na^+ ,K^+ 共存下でのATPase活性は, コントロール(C)標品に比べ, T標品では約20%に減少したが. リン散化酵素(EP)量, ouabain結合量はそれぞれ約70,90%残存していた. E_1 P, E_2 P, 及びouab.E_2 P形成に伴うBIPMの蛍光強度変化, 並びに, E_1 P及びouaB. E_2 P形成に伴う光散乱強度変化は, C標品と同様にT標品でも検出された. 部分反応であるMg^2+ ,Na^+ 存在下でのATPase活性は, ouabainによりC標品では90%以上阻害されるのに対し, T標品では約40%しか阻害されず, ouabain非感受性となった. さらにouab. E_2 Pの脱リン酸化の速度と, その時遊離される無機リン量(Pi)を同時測定し, △Pi/△ouab.E_2 ,Pを計算すると, C,T標品でそれぞれ約20,160となった. オリゴマイシンは, T標品のouabain非感受性ATPase活性にほとんど影響を与えなかった. 又, SDSゲル電気泳動の結果, 活性中心を含むペプチドは. トリプシン分解により, 数本の, 分子量の小さいペプチドに切断されていることが示された. 以上の結果から, Na^+ 存在下でのATP加水分解は, 大郎分ouab. E_2 Pを経由しない経路(E_2 P形成より前のステップ)で生じ, トリプシン分解によりその活性が数倍増大したことが示唆された.
ISSN:0015-5691