レニン阻害剤のコモンマーモセット血圧および血漿レニン活性に対する作用

目的:レニン-アンジオテンシン系(RA系)は血圧の維持に関与しており, RA系の律速酵素であるレニンの活性を阻害する物質は降圧薬として期待できる. そこで, 新しいレニン阻害剤KRI-1191の降圧作用について小型霊長類コモンマーモセット(CM)を用いて検討した. 方法:減塩食で飼育した体重305~450gのCMにフロセミド5mg/kgを1日おきに3回経口投与した. このCMの血圧を無麻酔下では, Tail cuff法で, 麻酔下では股動脈にカテーテルを挿入して記録した. PRAはRIA法で測定した. 結果:1)ヒト抗レニン抗体は, 2×10^4 倍の希釈で, ヒト, CM, およびMacac...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (4), p.343-343
Hauptverfasser: 久保田哲弘, 丸山喜正, 村上真, 島岡巌, 江藤裕夫, 飯塚欣二, 小泉均, 谷岡功邦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:レニン-アンジオテンシン系(RA系)は血圧の維持に関与しており, RA系の律速酵素であるレニンの活性を阻害する物質は降圧薬として期待できる. そこで, 新しいレニン阻害剤KRI-1191の降圧作用について小型霊長類コモンマーモセット(CM)を用いて検討した. 方法:減塩食で飼育した体重305~450gのCMにフロセミド5mg/kgを1日おきに3回経口投与した. このCMの血圧を無麻酔下では, Tail cuff法で, 麻酔下では股動脈にカテーテルを挿入して記録した. PRAはRIA法で測定した. 結果:1)ヒト抗レニン抗体は, 2×10^4 倍の希釈で, ヒト, CM, およびMacaca属サルのPRAを著明に抑制したが, CMのそれはMacaca属に比べ軽度であった. 一方, イヌ, ウサギ, ラットPRAでは抑制が認められなかった. 2)KRI-1191のPRAに対するIC_50 (M)は, ヒト, CM, ニホンザル, ラット, ウサギで各々5.6×10^-7 , 6.4×10^-7 , 9.9×10^-7 , 4.3×10^-5 , 3.1×10^-6 であり, 種属間に差が認められ, 特に霊長類に対し, 高い阻害活性を示した. 一方, Pepstatin Aは逆に非霊長類に対する阻害活性がより高かった. 3)KRI-1191の1~10mg/kg静脈内注入により血圧は6~24mmHg下降し, PRAも著明に抑制された. 4)KRI-1191 30および100mg/kg経口投与により, 無麻酔下の血圧は20~26mmHg下降し, 約5時間待続した. 以上の結果から, レニン阻害剤, KRI-1191の降圧薬としての可能性を示唆するとともに, CMのRA系に対する実験動物としての有用性を示した.
ISSN:0015-5691