培養細胞の増殖, DNA合成, ならびに蛋白合成に対するアニオンの効果

細胞増殖のおける細胞外液アニオンの効果についての報告は少ない. 我々は培養細胞の増殖, DNA合成, ならびに蛋白合成に対するアニオンの効果について検討した. (材料と方法)対数増殖期のチャイニーズハムスターV-79細胞を用いた. DNA, 蛋白の合成は, ^^3 H-TdR, ^^14 C-Leucineの取り込みにより一定した. (結果)(1)細胞増殖は, 各種アニオンのNa塩(10~150mM)添加により濃度依存的に抑制され, その抑制の程度は, 効果の大きいものからSCN^- >NO_2 ^- >NO_3^- >Cl^- >の順であった. (2)コロニー形成能を指標とした細胞生存率は,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (3), p.302-302
Hauptverfasser: 平田充, 小田和佐子, 宮越順二, 稲垣千代子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:細胞増殖のおける細胞外液アニオンの効果についての報告は少ない. 我々は培養細胞の増殖, DNA合成, ならびに蛋白合成に対するアニオンの効果について検討した. (材料と方法)対数増殖期のチャイニーズハムスターV-79細胞を用いた. DNA, 蛋白の合成は, ^^3 H-TdR, ^^14 C-Leucineの取り込みにより一定した. (結果)(1)細胞増殖は, 各種アニオンのNa塩(10~150mM)添加により濃度依存的に抑制され, その抑制の程度は, 効果の大きいものからSCN^- >NO_2 ^- >NO_3^- >Cl^- >の順であった. (2)コロニー形成能を指標とした細胞生存率は, 各種アニオンのNa塩添加により低下し, 細胞致死効果の大きさはSCN^- >NO_2^- >NO_3 ^- >Cl^- の順であった. (3)上記の細胞増殖抑制ならび致死効果は, 添加アニオンの除去後, 回復した. (4)上記アニオンのNa塩添加後, DNA合成, 蛋白合成はともに濃度依存的に抑制され, その効果の大きさは, いずれの場合にもSCN^- >NO_2 ^- ≧NO_3 ^- >Cl^- の順であった. (結論)アニオン(Na塩)の細胞増殖, 生存, DNA合成, 蛋白合成に対する抑制効果は膜透過性の高いアニオンにおいて大きい. 細胞内へのアニオンの流入が細胞増殖を抑制することが示唆された.
ISSN:0015-5691