SHRSP摘出精管におけるシナプス前受容体調節

高血圧自然発症ラットの種々の組織において, 交感神経系の昂進が見られ, これはシナプス前受容体機能の変化と関連している可能性が示されている. 血管系ではα, β受容体やP_1 受容体などの変化が報告されているが, 血管系以外の組織については検討されていない. 方法:ウィスター京都(WKY)および脳卒中易発性高血圧自然発症(SHRSP)ラットの雄性6ケ月齢の精管を摘出し, 前立腺側約1cmを縦切して標本とした. 標本はマグヌス装置に懸垂し, norepinephrine(NE)と電気刺激(TNS)による収縮反応を等尺性に記録した・シナプス前受容体の効力はNE(10^-4 M), TNS(2Hz,...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (1), p.93-94
Hauptverfasser: 丹羽淳子, 三木雪子, 東野英明, 梶本禮義, 鈴木有朋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:高血圧自然発症ラットの種々の組織において, 交感神経系の昂進が見られ, これはシナプス前受容体機能の変化と関連している可能性が示されている. 血管系ではα, β受容体やP_1 受容体などの変化が報告されているが, 血管系以外の組織については検討されていない. 方法:ウィスター京都(WKY)および脳卒中易発性高血圧自然発症(SHRSP)ラットの雄性6ケ月齢の精管を摘出し, 前立腺側約1cmを縦切して標本とした. 標本はマグヌス装置に懸垂し, norepinephrine(NE)と電気刺激(TNS)による収縮反応を等尺性に記録した・シナプス前受容体の効力はNE(10^-4 M), TNS(2Hz, 0.3msec, 10~20V, 15sec)の収縮高の変化によって比較した. 結果と考察:NE(10^-7 M~10^-3 M)とTNS(1~10Hz)による収縮反応はいずれにおいても有意にSHRSPで大であった. clonidineはTNSによる収縮を濃度依存性に抑制し, この抑制効果はSHRSPで大であった. 一方, yohimbineはTNS収縮を増大し, この増強効果はSHRSPで大であった. α_2 受容体の機能変化はSHRSPの交感神経系の昂進に対する適応と考えられる. またadenosineはTNSによる収縮を濃度依存性に抑制し, この抑制効果はSHRSPで小であった. 一方, theophyllineはTNS収縮を増大し, この増強効果もSHRSPで小さい傾向にあった. P_1 受容体の減弱はNE遊離の増大の原因となりうるかもしれない. α_2 とP_1 受容体の変化はSHRの血管系における多くの実験成績と一致し, 広範な受容体の機能変化を示唆した. isoproterenolはNEおよびTNSに対し同程度に抑制し, 精管にはβ受容体を介する増強効果は存在しないと思われる. prostaglandinE_2 , F_2α , angiotensin IIの作用はNEおよびTNSともに小さく, これらの関与は存在しても極めて少ないようであった.
ISSN:0015-5691