網膜に特異的なcDNA(pCR307)のクローニングとその解析

神経細胞の機能を明らかにするために我々は, 一つのアプローチとして遺伝子工学操作を用いている. これまでに我々は, ウシ網膜mRNAから二本鎖cDNAライブラリーを作製し, プラス・マイナス法でロドプシンを始めとする網膜に特異的なcDNAを数種クローニングした. 今回, 網膜に特異的と考えられるクローンpCR307について若干の知見を得た. 1)プラス・マイナス法(ウシ網膜, および脳から作製した一本鎖cDNAをプローブとした)で得たクローンpCR307をプローブとし, Okayama-Berg法で作製したcDNAライブラリーとcolony hybridizationを行ったところ, 約0.4...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (1), p.88-88
Hauptverfasser: 郭哲輝, 山形要人, 三木直正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:神経細胞の機能を明らかにするために我々は, 一つのアプローチとして遺伝子工学操作を用いている. これまでに我々は, ウシ網膜mRNAから二本鎖cDNAライブラリーを作製し, プラス・マイナス法でロドプシンを始めとする網膜に特異的なcDNAを数種クローニングした. 今回, 網膜に特異的と考えられるクローンpCR307について若干の知見を得た. 1)プラス・マイナス法(ウシ網膜, および脳から作製した一本鎖cDNAをプローブとした)で得たクローンpCR307をプローブとし, Okayama-Berg法で作製したcDNAライブラリーとcolony hybridizationを行ったところ, 約0.4%のコロニーとハイブリダイズした. 約540塩基対(bp)のクローンR17を得た. 得られたR17に対応するmRNAが網膜に特異的か否かを調べるために, Hinf I断片(300bp)をプローブとしNorthern hybridizationを行った. R17は, ウシ網膜mRNAとのみハイブリダイズしたが, ウシ脳, 肝臓, ラットC6グリオーマ, マウス神経芽細胞腫からのmRNAとはしなかった. 対応するmRNAは, 約8.2S(500bp)であった. R17は, ほぼ全長cDNAクローンと考えられたのでその塩基配列を決定した. 74アミノ酸(222bp)よりたるopen reading frameが取れた. その分子量は, 8515ダルトン, pIは, 約4.9であった. 他方, コンピューター解析から既知たん白質とのホモロジーは見い出せたかった. 以上の事より, R17は, 網膜に特異的な未知cDNAと考えられる. コードされているたん白質の生理的役割等を検討中である.
ISSN:0015-5691