ラット輸精管に対するATPの作用とPapaverine

私達は, papaverine(Pap)が, 心筋や腸管等平滑筋でadenosine(Ade)の不活性化を抑制し, その作用を特異的に増強することを報告した. そして, Papの作用機序の1つに内因性Adeの効果を高める可能性を示唆してきた. 今回, 交感神経系においても, PapがAdeとATPの作用を増強することを認めたので, 以下報告する. 1)Adeはラットの輸精管の神経刺激(0.1Hz, 0.5msec,field stimulation)によってひきおこされる収縮反応(twitch収縮)を10^-7 Mから抑制した. 一方, ATPはAdeとやや異なり, 10^-6 Mより一過性の...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.88 (1), p.83-84
Hauptverfasser: 守時英喜, 前芝良宏, 植山高光, 石田行雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:私達は, papaverine(Pap)が, 心筋や腸管等平滑筋でadenosine(Ade)の不活性化を抑制し, その作用を特異的に増強することを報告した. そして, Papの作用機序の1つに内因性Adeの効果を高める可能性を示唆してきた. 今回, 交感神経系においても, PapがAdeとATPの作用を増強することを認めたので, 以下報告する. 1)Adeはラットの輸精管の神経刺激(0.1Hz, 0.5msec,field stimulation)によってひきおこされる収縮反応(twitch収縮)を10^-7 Mから抑制した. 一方, ATPはAdeとやや異なり, 10^-6 Mより一過性の収縮をひきおこしたが, twitch収縮はATPの濃度に依存して抑制された. AdeとATPのpD_2 値はそれぞれ5.18と4.53であった. 2)Pap3×10^-5 Mを前処置するとAdeとATPの抑制作用は増強され, 濃度作用曲線は左方にそれぞれ4倍移動した. AdeとATPのpD_2 値はそれぞれ5.18から5.78,4.53から5.30になった. 3)(^^3 H)-Adeを含む10^-6 M Adeと輸精管をインキュベートすると^^3 H-活性は経時的に標本に取り込まれ, 10分間のtissue, medium ratioは7.09となった. この取り込みはPap3×10^-6 M, 10^-5 M, 3×10^-5 M共存下でそれぞれ77%, 57%, および38%に減少した. また(^^3 H)-ATPを含む10^-6 M ATPと輸精管をインキュベートするとやはり^^3 H-活性は取り込まれ, 10分間のT/Mratioは5.36であった. PapはAdeの場合と同様, この^^3 Hの取り込みを抑え, 10^-5 Mと3×10^-5 Mでそれぞれ63%と43%に抑制した. 以上より, Adeの抑制作用に対するPapの増強機序の一つは, Adeが組織に取り込まれる過程をPapが阻害して作用点近辺のAdeの有効濃度を高めるためと推察される. 一方, PapはATPの作用も増強したが, この場合はATPが一部分解してAdeになり, このAdeの作用をPapが増強したものと考えられる.
ISSN:0015-5691