ラット大脳皮質ニューロンにおけるトリメチレンジアミン誘導体のグルタミン酸応答抑制効果

いくつかのトリメチレンジアミン誘導体はザリガニの神経筋接合部においてグルタミン酸チャネルのオープンチャネルブロッカーとして作用し, グルタミン酸の脱分極作用を強力に抑制する. 今回我々はこの誘導体の1つ4-(2-methylpropy1)-3-(3-perhydroazepin-1-yl)-pro-pyl)-5-pheny-1,3-oxazolidin-2-oneがラット大脳皮質ニューロンに及ぼす作用を検討した. ウィスター系雄ラットをウレタンークロラロースで麻酔後クラーレを与え, 人工呼吸下に実験を行なった. ラットを脳固定装置に固定し自製の7極マルチバレルガラス管の先端を大脳皮質に刺入して...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 岡本司, 石田美知子, 篠崎温彦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:いくつかのトリメチレンジアミン誘導体はザリガニの神経筋接合部においてグルタミン酸チャネルのオープンチャネルブロッカーとして作用し, グルタミン酸の脱分極作用を強力に抑制する. 今回我々はこの誘導体の1つ4-(2-methylpropy1)-3-(3-perhydroazepin-1-yl)-pro-pyl)-5-pheny-1,3-oxazolidin-2-oneがラット大脳皮質ニューロンに及ぼす作用を検討した. ウィスター系雄ラットをウレタンークロラロースで麻酔後クラーレを与え, 人工呼吸下に実験を行なった. ラットを脳固定装置に固定し自製の7極マルチバレルガラス管の先端を大脳皮質に刺入してグルタミン酸ないしそのアゴニストによって誘発されるニューロンの活動電位を細胞外記録した. ガラス電極は中心を記録電極とし周囲に薬物電極を配した. 薬物の適用は自製の装置による微小イオン泳動法によって行なった. グルタミン酸あるいはそのアゴニストを与えると, negative-positiveの細胞外活動電位が記録された. 過度の電流によりグルタミン酸を与えるとover depolarizationを生じ, 活動電位は頻度大きさとも減少し, 消失した. 従って以下の実験は, この現象を起こさぬ様に注意しながら行なった. グルタミン酸応答は被験薬物の適用(10~40nA)により, 用量依存性に抑制された. グルタミン酸の3種の受容体のアゴニストであるカイニン酸, キスカル酸, N-methy-D-aspartateはいずれも大脳皮質ニューロンに対し強力な興奮性作用を示したがこれらの作用も被験薬物によって区別なく抑制された. 以上の結果はトリメチレンジアミン誘導体がラットの大脳皮質ニューロンにおいて, 従来の拮抗物質とは異なる機構でグルタミン酸およびそのアゴニストの興奮性作用を抑制することを示している.
ISSN:0015-5691