ブタ冠動脈平滑筋標本の3, 4-Diaminopyridine 誘発 Cyclic contraction に対する血管拡張薬の作用
最近, 狭心症として冠血管の攣縮が重要視されるようになっている. 攣縮は屡々周期的に起きるがその発生機序はいまだ明らかにされていない. 今回, 我々は内田らによって報告された 3,4-diaminopyridine(DAP)による周期性収縮をブタ摘出冠動脈で誘発せしめた上で, 名種冠血管拡張薬の作用について検討した. 方法:ブタ左冠動脈回旋枝の輪状標本(幅2~3mm)を Krebs-Henseleit 液中に静止張力 1~1.5g で懸垂し, 等尺性に張力を測定した. 結果:60個の標本に DAP 10^-2 M を適用したところ, 5~100分の潜状期の後, 全例に収縮が発現したが, そのパ...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 最近, 狭心症として冠血管の攣縮が重要視されるようになっている. 攣縮は屡々周期的に起きるがその発生機序はいまだ明らかにされていない. 今回, 我々は内田らによって報告された 3,4-diaminopyridine(DAP)による周期性収縮をブタ摘出冠動脈で誘発せしめた上で, 名種冠血管拡張薬の作用について検討した. 方法:ブタ左冠動脈回旋枝の輪状標本(幅2~3mm)を Krebs-Henseleit 液中に静止張力 1~1.5g で懸垂し, 等尺性に張力を測定した. 結果:60個の標本に DAP 10^-2 M を適用したところ, 5~100分の潜状期の後, 全例に収縮が発現したが, そのパターンは, 持続性の収縮(16/60)と周期性の収縮(43/60)に大別された. 周期性の収縮には, 周期が一定のもの(28/43)と不定のもの(15/43)があり, 前者の周期は平均15分であった. 標本が一定の周期で収縮している時点で, 各薬物を累積的に適用したところその作用は以下の3種に分類された. 1)nicorandil および pinacidil は収縮の周期, 最大張力, 弛緩時の張力のいずれに対しても抑制作用を示した. 2)nifedipine は, 最大張力を抑制し, 10^-8 M あるいは10^-7 M では周期性収縮を消失せしめたが弛緩期の張力はむしろ増大させる傾向を示した. 3)adenosine(10^-5 M), dipyridamole(10^-5 M), nitroglycerin(10^-8 M)は周期を延長させたが, 最大張力には殆ど作用を示さなかった. 以上の結果より, DAP によるブタ冠動脈の周期性収縮の発現には, K コンダクタンスの減少および電位依存性 Ca チャンネルを介する Ca のインフラックスが重要な役割を演じている可能性が考えられた. adenosine についてはその作用様式から K コンダクタンスに対する作用が推論される. |
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ISSN: | 0015-5691 |