31 P-NMR による新強心薬 OPC-8212 の虚血心筋エネルギー代謝に対する作用検討
モルモットの摘出心臓灌流標本に^^31 P-NMR を適用し, OPC-8212 の虚血心筋エネルギー代謝に対する作用を検討した. 対照薬として dobutamine を用いた. NMR 装置は日本電子製 FX-200Wb 型を用い, ^^31 P スペクトルを得た. 同時に左心室内圧, その一次微分(LV dP/dt), 心拍数, 冠灌流量を測定した. 虚血心は15μmのマイクロスフェアを冠動脈内に注入して作製した. マイクロスフェア注入により冠灌流量は37%に, LV dP/dt は57%に減少し, ATP およびクレアチンリン酸(CP)の減少と無機リン(Pi)の増大が見られた. 薬物は正...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1986, Vol.87 (5), p.38-39 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | モルモットの摘出心臓灌流標本に^^31 P-NMR を適用し, OPC-8212 の虚血心筋エネルギー代謝に対する作用を検討した. 対照薬として dobutamine を用いた. NMR 装置は日本電子製 FX-200Wb 型を用い, ^^31 P スペクトルを得た. 同時に左心室内圧, その一次微分(LV dP/dt), 心拍数, 冠灌流量を測定した. 虚血心は15μmのマイクロスフェアを冠動脈内に注入して作製した. マイクロスフェア注入により冠灌流量は37%に, LV dP/dt は57%に減少し, ATP およびクレアチンリン酸(CP)の減少と無機リン(Pi)の増大が見られた. 薬物は正常心で同程度の強心効果を生ずる濃度(OPC-8212:1.1±0.1×10^-4 M,dobutamine:3.2±0.3×10^-7 M)になる様に冠動脈内に持続注入した, OPC-8212 および dobutamine はそれぞれ, 正常心で84%および104%, 虚血心で43%および50%のLV dP/dt の増大を生じた. dobutamine は正常心および虚血心何れにおいても著明な心拍数の増大を生じたが, OPC-8212 は心拍数を有意には変化させなかった. OPC-8212 は正常心で CP の減少と Pi の増大を生じたが, 虚血心でのこれらの変化は正常心より少なかった. dobutamine は正常心で CP の減少と Pi の増大を生じた. 虚血心ではこれらの変化は大になり ATP の減少, 細胞内 pH の酸性化も認められた. 次に心拍数の影響を検討するため, 心臓を(220~300 stimuli/min)の頻度で刺激した. 正常心と比較して虚血心では高頻度刺激で, CP の減少, Pi の増大, 細胞内 pH の酸性化が強く認められた. 以上より, OPC-8212 および dobutamine は虚血心でも陽性変力作用を示したが, dobutamine が虚血による代謝変化を増強したのに対し, OPC-8212 にはその様な作用は少ないと考えられる. |
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ISSN: | 0015-5691 |