Nicergoline に関する薬理学的研究

ICR 系マウスとスナネズミを用い, 実験的な虚血性脳障害に対する nicergoline の作用を dihydroergotoxine(DHE)と比較検討した. 両側総頸動脈(BCA)永久結紮による ICR 系マウスの脳虚血モデルにおいて, nicergoline(16mg/kg,i.p.)は DHE と同程度に脳虚血後の累積死亡率を有意に低下させた. BCA 閉塞(30分間)―再開通によるスナネズミの脳虚血モデルにおいても nicergoline(32mg/kg,i.p.)は DHE と同程度に血行再開通後から虚血性痙れん発作発現までの時間を有意に延長させた. また, ICR 系マウス脳虚...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.87 (4), p.427-434
Hauptverfasser: 新冨敬一, 板倉正, 吉本謙一, 小川洋里, 福島登美子, 松岡雄三
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ICR 系マウスとスナネズミを用い, 実験的な虚血性脳障害に対する nicergoline の作用を dihydroergotoxine(DHE)と比較検討した. 両側総頸動脈(BCA)永久結紮による ICR 系マウスの脳虚血モデルにおいて, nicergoline(16mg/kg,i.p.)は DHE と同程度に脳虚血後の累積死亡率を有意に低下させた. BCA 閉塞(30分間)―再開通によるスナネズミの脳虚血モデルにおいても nicergoline(32mg/kg,i.p.)は DHE と同程度に血行再開通後から虚血性痙れん発作発現までの時間を有意に延長させた. また, ICR 系マウス脳虚血モデルで著明な脳エネルギー代謝障害が生じていることを確めた. この BCA 結紮2分後の虚血脳において nicergoline(16mg/kg,i.p.)は増加した lactate 量と上昇した L/P 比を有意に低下させると共に, 減少した crcatine-P および ATP 量を回復させる傾向を示した. さらに, ラット脳ホモゲネートを用いた in vitro 系で nicergoline は α-tocopherol および DHE よりも2.5~3.5倍強い過酸化脂質生成抑制作用(IC50:31μM)を示した. これらの成績から, nicergoline は虚血性脳障害に対して保護作用を有し, その作用発現には脳エネルギー代謝改善作用に加え, 過酸化脂質生成抑制作用が一部関与しているものと考えられた.
ISSN:0015-5691