培養ラットリンパ球における Fosfomycin と Cisplatin の相互作用
制癌剤の cisplatin には腎毒性, 聴覚器毒性, 消化器毒性, 造血器系毒性等の多彩な副作用があるために使用が制約される. 最近, 演者等は cisplatin のこのような毒性を fosfomycin(FOM)が軽減することを報告した. そこで, 今回は FOM の解毒機序解析に関する研究の一環として培養ラットリンパ球における cisplatin と FOM との相互作用について検討を行った. Wistar 系雄性ラット(体重250~300g)から末梢血を採取し, carbonyl iron powder によって貧食細胞を除去し, Ficoll 比重遠心法によってリンパ球を分離,...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 制癌剤の cisplatin には腎毒性, 聴覚器毒性, 消化器毒性, 造血器系毒性等の多彩な副作用があるために使用が制約される. 最近, 演者等は cisplatin のこのような毒性を fosfomycin(FOM)が軽減することを報告した. そこで, 今回は FOM の解毒機序解析に関する研究の一環として培養ラットリンパ球における cisplatin と FOM との相互作用について検討を行った. Wistar 系雄性ラット(体重250~300g)から末梢血を採取し, carbonyl iron powder によって貧食細胞を除去し, Ficoll 比重遠心法によってリンパ球を分離, 調整し10% fetal calf serum, 25mM HEPES を含む RPMI 培養液(pH 7.4)にて培養した. ラット培養リンパ球において ^^3 H-thymidine(TdR)の取り込みは cisplatin 1μg/mlの添加ではあまり影響されなかったが, 10μg/mlでは抑制傾向であった. phytohemagglutinin(PHA)による幼若化リンパ球では TdR の取り込みは cisplatin 1μg/mlで抑制傾向であったが, 10μg/mlで顕著に抑制された. cisplatin による TdR の取り込み抑制は培養リンパ球, 幼若化リンパ球の両者において FOM 10μg/mlの添加によって回復した. PHA 添加後1時間のリンパ球ではその細胞内 cAMP 含量は上昇したが cisplatin の前処置によって下降した. FOM を添加すると cisplatin による cAMP 含量の低下は回復傾向であった. 以上の結果から, リンパ球が幼若化されると cisplatin に対する感受性は上昇すると結論される. FOM はリンパ球においても cisplatin の毒性に対して細胞レベルで拮抗することが示唆される. |
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ISSN: | 0015-5691 |