アデノシンのイヌの膵外分泌に対する作用

アデノシンは細胞表面にある受容体に作用して adenylate cyclase に影響を与えることが, 種々の臓器で報告されている. 一方セクレチンによる膵外分泌の細胞内 mediator として cAMP の重要性が知られている. 今回演者らは, イヌの自己血液灌流膵臓標本を用い, セクレチン或いはドーパミンによる外分泌に対してアデノシンが, どの様に作用するかを検討した. 尚, ドーパミンはイヌに於いて, セクレチンと同様に水と電解質分泌を刺激するがセクレチンと異り, 膵臓組織中の cAMP 濃度の上昇は伴わないことが報告されている. 15匹の雌雄雑種成犬をペントバルビタールで麻酔し, 生...

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Hauptverfasser: 山岸不二雄, 春田耕一, 本間憲夫, 岩月和彦, 千葉茂俊
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アデノシンは細胞表面にある受容体に作用して adenylate cyclase に影響を与えることが, 種々の臓器で報告されている. 一方セクレチンによる膵外分泌の細胞内 mediator として cAMP の重要性が知られている. 今回演者らは, イヌの自己血液灌流膵臓標本を用い, セクレチン或いはドーパミンによる外分泌に対してアデノシンが, どの様に作用するかを検討した. 尚, ドーパミンはイヌに於いて, セクレチンと同様に水と電解質分泌を刺激するがセクレチンと異り, 膵臓組織中の cAMP 濃度の上昇は伴わないことが報告されている. 15匹の雌雄雑種成犬をペントバルビタールで麻酔し, 生体位自己血液灌流膵臓標本を作成した(Hashimoto et al., Br.J.Pharmacol. 43,739,1971)アデノシンは血管拡張作用があるので約18ml/分の定流量灌流(平常圧100mmHg)とした. 薬物は動脈カニューレに接続するゴム管に動脈注射した. アデノシン(0.1~1.0mg)はそれ自体, 膵外分泌に影響を与えなかったが, セクレチン(0.1 units)動注の1分前に前処置しておくと用量依存的にセクレチンの水と重炭酸分泌作用を増強した. 一方ドーパミン(3μg)の作用には影響を与えなかった. アデノシン動注の1分前に, 更にテオフィリン(0.3mg)を前処置しておくと, アデノシンによるセクレチンの外分泌作用増強は有意に低下した. またアデノシンは用量依存的に perfusion prcssure を低下させるが, テオフィリン(0.3mg)の前処置によって, その作用が有意に減弱した. 以上より, 膵外分泌腺と膵血管に, アデノシン“R”受容体(Londos et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77,2551,1980)が存在することが推測された.
ISSN:0015-5691