実験的甲状腺機能亢進症ラットにおける冠状動脈の反応性の変化

実験的甲状腺機能亢進症(hyp)ラットの冠血管における各種薬物に対する反応性の変化について検討した. 実験には250~300gのオス SD ラットを用いた. 冠血管の灌流はランゲンドルフ法による非拍出標本にて定流量法で行ない, 灌流圧は約100mmHgとした. hyp ラットは7~11日間のサイロキシンの i.p 投与により作成した. 心筋酸素消費量の変化による2次的影響を除くため, 電気刺激による心室細動下で実験を行なった. セロトニン(5-HT), 塩化バリウムでは収縮, イソプロテレノール(Iso), メタコリン(Met), ヒスタミン(His), アデノシンでは拡張反応がみられ, 各々...

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Hauptverfasser: 宮澤克彦, 橋本久邦, 滝口祥令, 中島光好
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:実験的甲状腺機能亢進症(hyp)ラットの冠血管における各種薬物に対する反応性の変化について検討した. 実験には250~300gのオス SD ラットを用いた. 冠血管の灌流はランゲンドルフ法による非拍出標本にて定流量法で行ない, 灌流圧は約100mmHgとした. hyp ラットは7~11日間のサイロキシンの i.p 投与により作成した. 心筋酸素消費量の変化による2次的影響を除くため, 電気刺激による心室細動下で実験を行なった. セロトニン(5-HT), 塩化バリウムでは収縮, イソプロテレノール(Iso), メタコリン(Met), ヒスタミン(His), アデノシンでは拡張反応がみられ, 各々濃度依存的反応曲線を示した. hyp ラット群では正常群に較べ, 5-HT,Iso,Met で有意に反応性の増大がみられたが, 他の薬物では有意な差異は認められなかった. His ではその約半数の例で, 特に高濃度で2相性に収縮反応がみられた. 拡張反応はシメチジン, また収縮反応はジフェンヒドラミンの前処置により抑制された. α-刺激剤であるフェニレフリンは収縮反応を示したが hyp 群との差異は明らかでなく, クロニジンは反応自体が冠血管では明確でなかった. モルモットを用いた実験では両薬物とも収縮反応を示し, クロニジンは hyp 群においてその反応性が減弱した. すでに当研究室で行なった hyp におけるラット後肢血管床での反応性の変化の実験と比較すると, ラット冠血管では 5-HT による収縮反応の反応性増大が特徴的であった. 甲状腺機能亢進症は狭心症のリスクファクターとなるが, 心筋酸素消費量の増大のみならず, 本実験の 5-HT の場合のような冠血管収縮物質に対する反応性の増大も一つの因子となりうる可能性が考えられた.
ISSN:0015-5691