K-GLによる解糖系を介する赤血球膜 K^+ 輸送

ラット赤血球を用い potassium chloride(KCl), potassium aspartate(Asp-K)および potassium gluconate(K-GL)により赤血球内 K^+ 取り込み量を比較したところ, K-GL に最も高い K^+ 取り込みを認めた. そこで, この K-GL による高い赤血球内 K^+ 取り込みが如何なる機序によるものかを, KCl と比較しながら検討を加えた. 結果および考察:Na^+ -rich cell(Post et.al,BBA25,1957)への K^+ 取り込みは, 外液 K^+ 濃度依存性に増加し, K-GL として mediu...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1986, Vol.87 (3), p.13-14
Hauptverfasser: 辻谷典彦, 岡部栄逸朗, 伊藤春生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ラット赤血球を用い potassium chloride(KCl), potassium aspartate(Asp-K)および potassium gluconate(K-GL)により赤血球内 K^+ 取り込み量を比較したところ, K-GL に最も高い K^+ 取り込みを認めた. そこで, この K-GL による高い赤血球内 K^+ 取り込みが如何なる機序によるものかを, KCl と比較しながら検討を加えた. 結果および考察:Na^+ -rich cell(Post et.al,BBA25,1957)への K^+ 取り込みは, 外液 K^+ 濃度依存性に増加し, K-GL として medium 中に添加した場合に最も強い取り込みが認められ, ついで Asp-K ,KCl の順であった. また, K^+ 濃度として16mM以上で3者間に有意の差を認めた. しかし, これら K^+ 取り込みの差は, 1×10^-4 M ouabain の存在下で消失した. K-GLはNa^+ -rich cell の lactate,ATP 量を KCl に比較して有意に増加させたが, これらの増加および K^+ 取り込みの増加は, 解糖系阻害薬(sodium fluoride, 10mM;monoiodoacetate, 1mM;oxidized glutathione, 1mM)によって強く抑制された. KCl は, K^+ 取り込み, ATP 量を有意に増加させるものの, この効果は解糖系阻害薬によって, なんの影響もうけなかった. 赤血球 ghost を用いた場合, Na^+ -K^+ ATPase 活性は, K^+ 塩として K-GL を添加しても, Asp-K を添加してもあるいは KCl を添加しても同程度であったが, 赤血球膜を含んだ hemolysate(Luthra,BBA 692,1982)を用いた場合, K-GL によって強く増強された. 以上の結果から次のことが示唆された. K-GL は赤血球の解糖系律速段階のいずれかに作用し, 解糖系を亢進させることにより, ATP 産生を高め, この結果Na^+ -K^+ ATPase 活性の増加にともなう K^+ 輸送が促進される.
ISSN:0015-5691