神経細胞におけるCa^2+ 動態とイノシトールリン脂質代謝回転との関係
最近, 受容体活性化によるCa^2+ 動態変動とイノシトールリン脂質代謝回転との関係が注目されている. 我々は受容体活性化によるCa^2+ 動態変動の機構を明らかにするために, Ca^2+ indicator Quin 2を用いてCa^2+ 動態に対するイノシトールリン脂質の代謝産物の作用について検討を行なった. 細胞はニューロブラストーマ×グリオーマNG108-15ハイブリッド細胞を用いた. 細胞内Ca^2+ 濃度((Ca^2+ )_i )はTsienらの方法に従い, Quin2を用いて測定した. イノシトール1リン酸(IP1), イノシトール2リン酸(IP2), イノシトール3リン酸(IP...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1985, Vol.86 (5), p.135-135 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 最近, 受容体活性化によるCa^2+ 動態変動とイノシトールリン脂質代謝回転との関係が注目されている. 我々は受容体活性化によるCa^2+ 動態変動の機構を明らかにするために, Ca^2+ indicator Quin 2を用いてCa^2+ 動態に対するイノシトールリン脂質の代謝産物の作用について検討を行なった. 細胞はニューロブラストーマ×グリオーマNG108-15ハイブリッド細胞を用いた. 細胞内Ca^2+ 濃度((Ca^2+ )_i )はTsienらの方法に従い, Quin2を用いて測定した. イノシトール1リン酸(IP1), イノシトール2リン酸(IP2), イノシトール3リン酸(IP3)は牛脳より得たホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェイト(PIP2)を加水分解して得た. イノシトールリン酸の細胞内注入は単一細胞内のQuin 2螢光を顕微鏡下に測定しながら. ガラスピペットを用いて電気泳動的に注入した. Quin2を含む細胞をブラジキニンで刺激すると(Ca^2+ )_i は15秒以内に100nMから250nMに上昇し, 3分以内にもとの状態にもどった. その後に再びゆっくりした(Ca^2+ )_i の上昇がみられた. この(Ca^2+ )_i の上昇の速いspike phaseはブラジキニンの濃度に依存して増加し, 10nMでほぼ最高値に達した. Ca^2+ 拮抗薬のベラパミール, ニフェジピンの添加および細胞外液のCa^2+ 濃度を減少させてもブラジキニンによるspike phaseを抑制しなかった, 従って, ブラジキニンによる(Ca^2+ )_i の上昇の速いspike phaseは主に細胞内Ca^2+ poolsからのCa^2+ 遊離によるものであると考えられる. 次に, イノシトールリン脂質の代謝回転との関係を調べるために, イノシトールリン脂質の代謝産物であるIP1, IP2, IP3, をQuin2を含む細胞にmicro injectionしてQuin2の螢光変化を調べた. IP3の注入によりQuin2の螢光は増加したが, IP1, IP2は効果がなかった. また, IP3による作用は細胞外液のCa^2+ 濃度に非依存性であった. |
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ISSN: | 0015-5691 |