ラット歯髄細胞のCyclic GMP生成に対するアセチルコリンの作用

われわれは前報でラット歯髄細胞に副甲状腺ホルモン(PTH)感受性のcAMP生成系, およびアドレナリン作働性のcAMP生成系が存在し, 後者はβ_2 受容器を介するものと推定されることを報告した. 今回はアセチルコリンのcGMP生成に対する作用を検討した. 方法:ラットを潅流後, 前報と同様の方法で歯髄細胞を調製し, 細胞浮遊液を得た. これにアセチルコリン(ACh), アゴニスト, アトロピン(Atr), あるいはCa(CaCl_2 )を添加した. 反応終了後, 上清をヤマサキットでcGMPとcAMPを測定した. 結果と考察:1)AChはCa無添加の系では3-isobutyl-l-methy...

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Hauptverfasser: 石川市次郎, 鈴木章俊
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:われわれは前報でラット歯髄細胞に副甲状腺ホルモン(PTH)感受性のcAMP生成系, およびアドレナリン作働性のcAMP生成系が存在し, 後者はβ_2 受容器を介するものと推定されることを報告した. 今回はアセチルコリンのcGMP生成に対する作用を検討した. 方法:ラットを潅流後, 前報と同様の方法で歯髄細胞を調製し, 細胞浮遊液を得た. これにアセチルコリン(ACh), アゴニスト, アトロピン(Atr), あるいはCa(CaCl_2 )を添加した. 反応終了後, 上清をヤマサキットでcGMPとcAMPを測定した. 結果と考察:1)AChはCa無添加の系では3-isobutyl-l-methylxanthine(IBMX)と同時に添加してもcGMP生成に何ら作用を示さなかった. 一方, Ca(2.5mM), ACh(4.2×10^-4 M)およびIBMX(0.5mM)の同時添加では, 徐々にcGMP生成が増大し, 10分で約40%の増加が観察された. cAMP生成に対しては作用がみられなかった. 以後の反応系ではCa, およびIBMXを同時に添加した・2)ACh, ピロカルピン(Pilo), およびカルバコール(Car)を種々の濃度で添加10分後のcGMP生成量を比較した. AChは10^-5 Mより増加し, 10^-3 Mで60%と増大した. Carは10^-5 Mで20%, 10^-3 Mで57%の増加率であった. 一方, Piloは弱く, 10^-2 Mで30%の増加率であった. 3)ACh(10^-4 M), Pilo(10^-3 M), あるいはCar(10^-3 M)存在下, Atrを種々の濃度で添加した. Atrは10^-5 ~10^-2 Mの濃度でAChとCarのcGMP生成を強く抑制した. Piloは10^-4 M以上で抑制がみられた. 以上の結果から, ラット歯髄細胞にはACh反応性のcGMP生成系が存在し, それはムスカリン様であり, 細胞外液にCaの存在を必要とする系と推定される. しかし, その系はAChの高濃度(10^-5 ~10^-3 M)で作用し, PTH(10^-8 M~), およびカテコールアミン(10^-9 M~)の反応性cAMP系と比較して非常に弱い生成系と考えられる.
ISSN:0015-5691