鯉の心臓におけるAdrenergic receptorのDesensitizationについて
catecholamineによるbeta-受容体のdesensitizationは哺乳類や鳥類の心臓において観察されている. 本研究は鯉の心臓を用い, その現象が魚類においても起こり得るかどうか検討した. 鯉の心室筋標本, 巾3mm, 長さ10mm, 厚さ1mm, を30ml入る浴槽内に固定, 0.5Hzの頻度で反復電気刺激し収縮力の変化は等尺性に記録した. 1)鯉の心室筋標本においてisoproterenoIは濃度依存的に収縮力増大作用を示す. 閾値濃度(収縮増大作用を示した最少濃度)は約1nMである. 2)しかし, その後, 洗浄, 再度isoproterenolを浴槽内に添加し, それに...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1985, Vol.85 (6), p.101-102 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | catecholamineによるbeta-受容体のdesensitizationは哺乳類や鳥類の心臓において観察されている. 本研究は鯉の心臓を用い, その現象が魚類においても起こり得るかどうか検討した. 鯉の心室筋標本, 巾3mm, 長さ10mm, 厚さ1mm, を30ml入る浴槽内に固定, 0.5Hzの頻度で反復電気刺激し収縮力の変化は等尺性に記録した. 1)鯉の心室筋標本においてisoproterenoIは濃度依存的に収縮力増大作用を示す. 閾値濃度(収縮増大作用を示した最少濃度)は約1nMである. 2)しかし, その後, 洗浄, 再度isoproterenolを浴槽内に添加し, それによる収縮力増大作用を初回と比較してみると著しく弱く, また, 閾値濃度もより高いことがわかる. しかし, 最大効果を起こす濃度は初回と水洗後においてほぼ同じ(300nM)である. 3)この現象は心室筋を洗浄後, 薬剤を含まない人工栄養液で3時間培養すると一部回復する. 4)同じ条件下において, Ca^2+ およびtheophyllineによる収縮力増大作用はisoproterenolによって影響されない. 5)1μM propranololはこのisoproterenolの収縮増大作用を強く抑制するが, 5μM phentolamineは抑制しない. 6)epinephrineも濃度依存的に鯉心室筋の収縮力を増大させる. epinephrine再添加による収縮力増大作用は, isoproterenolと同様弱いが, 初回との差はisoproterenolで観察されたほど顕著ではない. このepinephrineによる増大作用も1μM propranololで強く抑制を受け, phentolamineには抑制されない. これらの結果は, 鯉の心室筋においても, isoproterenol, epinephrineに対してdesensitizationが起こることを示す. また, それはbetaadrenaline受容体に関係していると思われる. |
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ISSN: | 0015-5691 |