摘出心臓におけるPhencyclidineの収縮力増大作用

phencyclidineは興奮性細胞膜のイオン透過機構に影響をおよぼす. 本実験は摘出心臓に対するこの薬物の作用を検討したものである. 収縮力記録:種による作用の差が報告されていることから, 心房標本はラットとモルモットから作成した. 人工栄養液としてKrebs-Henseleit液(CaCl_2 1.2mM)を使用し, 30℃, 刺激頻度1.5Hzの条件下で実験を行なった. phencyclidineの投与は濃度依存的に収縮力を増大する. その作用はラットの方が顕著であり, propranolol,phentolamine,tripelennamine,tetrodotoxin前処置にも抑...

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Hauptverfasser: 天間恭介, 近藤洪志
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:phencyclidineは興奮性細胞膜のイオン透過機構に影響をおよぼす. 本実験は摘出心臓に対するこの薬物の作用を検討したものである. 収縮力記録:種による作用の差が報告されていることから, 心房標本はラットとモルモットから作成した. 人工栄養液としてKrebs-Henseleit液(CaCl_2 1.2mM)を使用し, 30℃, 刺激頻度1.5Hzの条件下で実験を行なった. phencyclidineの投与は濃度依存的に収縮力を増大する. その作用はラットの方が顕著であり, propranolol,phentolamine,tripelennamine,tetrodotoxin前処置にも抑制を受けない. しかし, 0.1μMverapamil, 0.1μM nifedipine, 5μM diltiazemにより強く抑制を受ける. 高K^+ (22mM)を含む溶液中においてもphencyclidineは明らかな収縮力増大作用を示す. 膜電位記録:ラット左心房標本において, phencyclidineはより強い活動電位の持続時間の延長作用を示す. また, phencyclidineは両種において立ち上がり速度の減少作用を示す. 静止電位には影響を与えない. 高K^+ 溶液中では活動電位の大きさを増大, 持続時間の延長作用を示す. 細胞膜への^^3 H-phencyclidine結合実験:ある程度純化したモルモット心室細胞膜を使用した. この標本においてのBmaxとKdは3.75pmol/mg蛋白および130nMである. この^^3 H-phen-cyclidine結合はverapamil, nitrendipine, diltiazemにより濃度依存的に抑制を受ける. ^^3 H-phencyclidine(2nM)結合を50%抑制する濃度はverapamil:16.5μM, nitrendipine:25.3μM, diltiazem:28.5μMである. 以上, phencyclidineはラット, モルモット両者の摘出心臓において収縮力増大作用を示す. この作用はslow Ca^2+ channelに関与しているようである.
ISSN:0015-5691