Forssman抗血清によるモルモットの気道抵抗変化

Forssman抗血清によるモルモットの気道抵抗の変化を薬理学的および病理学的に検討した.モルモットにForssman抗血清を静注すると2相性の気道抵抗の増大が生じた。すなわち,投与後20秒の潜伏期の後,一過性の増大(I相)が生じ,続いて徐々に持続性の増大(II相)が生じた.この増大は5~7分後にはプラトーとなり不可逆的であった.病理組織学的所見で,肺には出血ならびに浮腫が認められ,気管支枝内には分泌液の充満が認められた.肺胞には浸出液の貯留,出血が認められ,毛細血管内には好中球の集籏が認められた.電顕的には血管内皮細胞の崩壊が認められた.I相およびII相の気道抵抗の増大はDSCGの前処置で何...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1983, Vol.82(6), pp.429-441
Hauptverfasser: 中神, 啓仁, 小林, 豊一, 高柳, 法康, 矢野, 譲次, 三浦, 昌己
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Forssman抗血清によるモルモットの気道抵抗の変化を薬理学的および病理学的に検討した.モルモットにForssman抗血清を静注すると2相性の気道抵抗の増大が生じた。すなわち,投与後20秒の潜伏期の後,一過性の増大(I相)が生じ,続いて徐々に持続性の増大(II相)が生じた.この増大は5~7分後にはプラトーとなり不可逆的であった.病理組織学的所見で,肺には出血ならびに浮腫が認められ,気管支枝内には分泌液の充満が認められた.肺胞には浸出液の貯留,出血が認められ,毛細血管内には好中球の集籏が認められた.電顕的には血管内皮細胞の崩壊が認められた.I相およびII相の気道抵抗の増大はDSCGの前処置で何ら影響されず,cobra venom factorおよびcarrageeninにより完全に抑制された.isoproterenolおよびsalbutamolはI相を選択的に抑制し,aminophyllineはII相の後半の反応も抑制した.cyproheptadineはI相を抑制したがchlorpheniramineは抑制しなかった.一方,indomethacinおよびaspirinはII相を選択的に抑制した.O2-のスカベンジャーであるsuperoxidedismutaseはII相を著明に抑制したが,不活性化superoxide dismutaseおよびH2O2のスカベンジャーであるcatalaseは抑制しなかった.以上の成績より,本反応の発現には補体系が重要な役割を担っていることが示唆された.I相は気道の収縮によるものと考えられ,その一因としてセロトニンの関与が示唆された.一方,II相は血管内皮障害による血管透過性充進,浮腫および気道内への出血性分泌液の充満等の炎症性の機序が考えられ,プロスタグランジンやO2-の関与が示唆された.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.82.429