ビタミンB1欠乏ラットにみられる精巣の病理組織学的変化

生後35日令のWistar系雄ラットを用いてビタミンB1欠乏飼育を行ない,飼育30日におけるビタミンB1欠乏の睾丸組織に対する影響を検討し,次の成績が得られた.1)ビタミンB1欠乏群 a)erection陽性群の精細管は萎縮し,精租細胞および精母細胞の数の減少を示した.また,巨大細胞が出現しており精子はほとんど観察されなかった.他方,セルトリー細胞が中等度の増加を示していた.b)erection陰性群は間質の浮腫が中等度あらわれており,精租細胞および精母細胞の変性ならびにこれらの細胞数の減少が著明であった.2)ビタミンB1投与群では間質に中等度の浮腫があり,精細管は萎縮像を示した.3)pair...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1980, Vol.76(2), pp.143-152
Hauptverfasser: 小野寺, 憲治, 木皿, 憲佐, 岡辺, 治男, 小倉, 保己
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:生後35日令のWistar系雄ラットを用いてビタミンB1欠乏飼育を行ない,飼育30日におけるビタミンB1欠乏の睾丸組織に対する影響を検討し,次の成績が得られた.1)ビタミンB1欠乏群 a)erection陽性群の精細管は萎縮し,精租細胞および精母細胞の数の減少を示した.また,巨大細胞が出現しており精子はほとんど観察されなかった.他方,セルトリー細胞が中等度の増加を示していた.b)erection陰性群は間質の浮腫が中等度あらわれており,精租細胞および精母細胞の変性ならびにこれらの細胞数の減少が著明であった.2)ビタミンB1投与群では間質に中等度の浮腫があり,精細管は萎縮像を示した.3)pair-fed群では間質の浮腫は著明であるが精細管は萎縮が中等度見られる.精子形成の障害はビタミンB1欠乏飼育群のerection陽性群に最も強く現われ,ビタミンB1投与群,pair-fed群,erection陰性群の順に悪化していた.4)睾丸中のポリアミン含量に対するビタミンB1欠乏の影響は飼育12日でのスペルミジン量の減少および飼育30日でのスペルミンの増加が著明であった.分裂・増殖が低下している時には比の値が小さいことが知られているスペルミジン/スペルミン比は飼育12日ならびに飼育30日で有意な低下がビタミンB1欠乏群で認められた.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.76.143