Lithium塩の1回および反復投与時の動態と行動薬理学的研究
Lithium carbonate(Li2CO3)またはlithium chloride(LiCl)をラットおよびイヌに経口投与し,吸収,分布および排泄を調べた,ラットの場合,Li2CO3投与4時間後に血中濃度の最高値を認め,投与量の71%が24時間尿に排泄された.Liの血中濃度と尿中排泄量は,Li2CO3とLiClでほぼ近似していた.イヌの場合,ラットに比較して血中最高濃度に到達する時間が速く,尿中排泄が遅い傾向にあり,吸収排泄速度に種差を認めた.一方,臓器への分布では,甲状腺と下垂体にLi親和性を認めた.また脳と骨には反復投与時に蓄積性を認めたが,投与中止後速やかに尿中に排泄され残溜性は認...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1976, Vol.72(4), pp.433-443 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Lithium carbonate(Li2CO3)またはlithium chloride(LiCl)をラットおよびイヌに経口投与し,吸収,分布および排泄を調べた,ラットの場合,Li2CO3投与4時間後に血中濃度の最高値を認め,投与量の71%が24時間尿に排泄された.Liの血中濃度と尿中排泄量は,Li2CO3とLiClでほぼ近似していた.イヌの場合,ラットに比較して血中最高濃度に到達する時間が速く,尿中排泄が遅い傾向にあり,吸収排泄速度に種差を認めた.一方,臓器への分布では,甲状腺と下垂体にLi親和性を認めた.また脳と骨には反復投与時に蓄積性を認めたが,投与中止後速やかに尿中に排泄され残溜性は認められなかった.脳への分布は1回投与では血中濃度より低いが,反復投与で血中濃度を上回り以後ほぼ一定レベルを保持した.さらに反復投与時における薬理作用についても行動薬理学的に検討を加えた,マウスの自発運動量に対し,LiClに比較してLi2CO3でより強い抑制作用を認めた.またLi2CO3は高用量でmethamphetamineおよびcocaineによる興奮作用を抑制し,reserpineによる眼険下垂,体温下降作用にも拮抗作用を示した.以上の結果,Li塩の反復投与により脳内のLi濃度が高まり,この時中枢抑制作用が認められることが明らかとなった. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.72.433 |