Ifenprodilのイヌの脳循環ならびに末梢循環に対する作用様式の解明

「要約」Isoxsuprineと構造式がよく類似している血管拡張薬ifenprodilの循環系およびいくつかの薬理作用について検討し, 以下の成績を得た. 1) イヌ血圧, 椎骨動脈および大腿動脈の定流量潅流圧の測定において, ifenprodil (0.3~1mg/kg, i.v.)は一過性の潅流圧低下の後に緩和な持続的低下作用を示し, 両側頸動脈閉塞, norepinephrineおよびepinephrineによる昇圧作用を抑制した. しかしifenprodilの一過性および持続的血圧下降作用は脊髄ラットおよびネコにおいては認められなかった. Ifenprodil動注による椎骨動脈潅流圧の...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1975-07, Vol.71 (5), p.517-526
Hauptverfasser: 小澤光, 陳清松, 植松利男, 菅原和信
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「要約」Isoxsuprineと構造式がよく類似している血管拡張薬ifenprodilの循環系およびいくつかの薬理作用について検討し, 以下の成績を得た. 1) イヌ血圧, 椎骨動脈および大腿動脈の定流量潅流圧の測定において, ifenprodil (0.3~1mg/kg, i.v.)は一過性の潅流圧低下の後に緩和な持続的低下作用を示し, 両側頸動脈閉塞, norepinephrineおよびepinephrineによる昇圧作用を抑制した. しかしifenprodilの一過性および持続的血圧下降作用は脊髄ラットおよびネコにおいては認められなかった. Ifenprodil動注による椎骨動脈潅流圧の低下作用はisoxuprineの1/2であった. またifenprodilにより心拍数の増加および脈圧の増大を示すいくつかの例が認められた. 2) ネコ血圧において, ifenprodil 0.5mg/kg, i.v.)によりイヌと同様に, 一過性の降圧に続く持続的降圧作用が見られた. またnorepinephrine, epinephrine, tyramineによる昇圧作用と瞬膜の収縮作用および頸部交感神経節前線維への電気刺激による瞬膜の収縮はifenprodilにより抑制された. 3) 摘出モルモット心房標房において, ifenprodilの高濃度(10-5g/ml)は心収縮力をわずかに抑制し, isoproterenolによる収縮力および心拍数の増加作用を著明に抑制した. 4) 摘出ウサギ大動脈切片標本において, norepinephrineによる大動脈切片の収縮はifenprodilおよびphentolamineにより抑制された. 5) 摘出モルモット下腹神経-輸精管標本においてifenprodilは下腹神経節前線維の電気刺激およびnoredinephrineによる輸精管の収縮を抑制した. 以上の結果より, ifenprodilは定流量椎骨動脈潅流圧および定流量大腿動脈潅流圧に対し2つの要因からなる低下作用を有すること, そのうちの一つは初期に見られる持続の短い作用であり, その作用機序は不明であるが, 神経性の作用と考えられること, また遅れてあらわれる持続性のもう一つの作用は交感神経α遮断による効果が考えられることなどが示唆された. さらにin vivoにおいて, ifenprodilは脈圧の増大と心拍数の増加など心臓に対する直接効果と考えられる弱いβ-sympathomimetic作用, あるいは類似の効果を示す場合も見られ, 必ずしもisoxsuprineと相異するとは言えない.
ISSN:0015-5691