小腸運動型と吸収との関係について

「緒言」腸管が生体における重要な吸収器官であることは今更改めて述べるまでもない. 膜に対する物質の透過速度は, 膜の両側におけるその物質の濃度勾配により著しい影響をうける. 腸管からの物質吸収に際してもこのことは勿論あてはまり, 従って腸血流速度がしばしば問題にされる. 著者等はさきに, 腸運動型と血流速度との関連を追究し, 腸運動型の種類によって腸血流速度に対する影響が異ることを知った. このことは発現する腸運動型の種類がちがえば吸収速度もまた異るのではないかと想像させるものである. 従来, 腸運動と吸収との関係については余り知られておらず, 人あるいはラットにおいて腸運動を亢進させるような...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1967/03/20, Vol.63(2), pp.1-8
Hauptverfasser: 矢ケ崎, 修, 柳谷, 岩雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」腸管が生体における重要な吸収器官であることは今更改めて述べるまでもない. 膜に対する物質の透過速度は, 膜の両側におけるその物質の濃度勾配により著しい影響をうける. 腸管からの物質吸収に際してもこのことは勿論あてはまり, 従って腸血流速度がしばしば問題にされる. 著者等はさきに, 腸運動型と血流速度との関連を追究し, 腸運動型の種類によって腸血流速度に対する影響が異ることを知った. このことは発現する腸運動型の種類がちがえば吸収速度もまた異るのではないかと想像させるものである. 従来, 腸運動と吸収との関係については余り知られておらず, 人あるいはラットにおいて腸運動を亢進させるような薬物の投与によって腸管よりのglucose吸収が増加するという実験結果あるいはhyperperistalsisによって栄養不量がおこるという実験結果から腸運動と吸収との関連性が推論されているにすぎず, しかも腸運動型については充分な観察記録は行なわれていない.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.63.1