癌細胞のTTC (2, 3, 5-Triphenyl tetrazolium chloride)-反応に及ぼす制癌物質の作用
「緒言」われわれは癌組織の代謝に関する薬理学的研究の一部として, 既に発表している如く, 諸種薬物をin vitroで癌細胞に作用させ, その直接作用を経時的に位相差顕微鏡による形態と, 組織化学的な検索によって, 多糖類, 核酸等の消長との関係から, 制癌作用の形式と, 制癌薬のScreening testの方式とについて検討を行っている. この研究はそれらの一部をなすもので, 癌細胞内に於けるクエン酸回路の代謝系が, 薬物によって如何なる影響を受けるかを, 脱水素酵素の活性度を中心として検討した. 周知の如く, 脱水素酵素は細胞質のミトコンドリアに存在し, 生細胞の呼吸に重要な役割を持つの...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1959/09/20, Vol.55(5), pp.1196-1200 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」われわれは癌組織の代謝に関する薬理学的研究の一部として, 既に発表している如く, 諸種薬物をin vitroで癌細胞に作用させ, その直接作用を経時的に位相差顕微鏡による形態と, 組織化学的な検索によって, 多糖類, 核酸等の消長との関係から, 制癌作用の形式と, 制癌薬のScreening testの方式とについて検討を行っている. この研究はそれらの一部をなすもので, 癌細胞内に於けるクエン酸回路の代謝系が, 薬物によって如何なる影響を受けるかを, 脱水素酵素の活性度を中心として検討した. 周知の如く, 脱水素酵素は細胞質のミトコンドリアに存在し, 生細胞の呼吸に重要な役割を持つので, この活性度如何は癌細胞の活性度にも一定のつながりを持つものと考えられる. 勿論この種反応系を色素を利用して検査する方法は古くから考えられ, 特に癌細胞に対する実験はYamazaki 1), Mizuno2)等のCUP法と他に三浦7)が行い, 抗菌性との関係を検査したGillissen, 3) 金沢4)等の報告もあるが, われわれは新しく考案した比色法を以って, 動物の腹水癌を使用し, 従来行って来たin vitroの実験法によって, 薬物とincubateした細胞の形態的な変化と脱水素酵素の活性とが, どう変化するかについて, 経時的観察を行い, 両者の相互関係を明らかになし, Screening test乃至は癌移植に際しての新しい知見を得たので茲に報告する. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.55.1196 |