鎭痛薬に関する薬理学的研究: 第3報 グルタミン酸代謝に及ぼす鎮痛薬の影響

「緒言」われわれは鎮痛薬に関する薬理学的研究の目的をもって, 既に鎮痛薬の効果に及ぼす各種薬物の影響, 並に鎮痛薬の効果に及ぼす脳下垂体前葉及び副腎ホルモンの影響に就ての実験成績を報告し1), 興味ある成績を得たので, 更に鎮痛薬のグルタミン酸代謝に及ぼす影響について本研究を行った. 1935年Krebsの脳切片によるグルタミンの合成が, 脳内グルタミン酸代謝に関する研究の端緒となり, 更に1943年Waelschがグルタミン酸を精神々経疾患に経口投与して有効なことを発見し, これら臨床的あるいは生化学的な実験からグルタミン酸の生理学的な意義が次第に明らかになってきた. 殊に近年脳の特殊な機能...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1959/07/20, Vol.55(4), pp.703-708
Hauptverfasser: 金戸, 洋, 羽野, 寿
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」われわれは鎮痛薬に関する薬理学的研究の目的をもって, 既に鎮痛薬の効果に及ぼす各種薬物の影響, 並に鎮痛薬の効果に及ぼす脳下垂体前葉及び副腎ホルモンの影響に就ての実験成績を報告し1), 興味ある成績を得たので, 更に鎮痛薬のグルタミン酸代謝に及ぼす影響について本研究を行った. 1935年Krebsの脳切片によるグルタミンの合成が, 脳内グルタミン酸代謝に関する研究の端緒となり, 更に1943年Waelschがグルタミン酸を精神々経疾患に経口投与して有効なことを発見し, これら臨床的あるいは生化学的な実験からグルタミン酸の生理学的な意義が次第に明らかになってきた. 殊に近年脳の特殊な機能とそれを発揮するための代謝様式, 即ち機能代謝との関係が広く研究されるようになった. 就中グルタミン酸とその代謝が重要な役割を果していることが報告されているので2,3), 一般に中枢性に作用すると考えられている鎮痛薬の作用が, グルタミン酸代謝, ひいては脳機能に対し一定の影響を与える結果招来されるのではないかとの想定の下に, 催眠, 静穏薬と併せてその作用機序の一端を窺おうとして, この実験に着手し, 先ず以下の成績を得た.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.55.703