脳梗塞を合併した可逆性脳血管攣縮症候群の小児例の呈示と既報例のレビュー

可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome; RCVS)は,雷鳴頭痛を特徴とし脳血管に可逆性の分節状攣縮を認める.予後は一般的に良好だが,脳実質障害を合併することもある.今回,筆者らはRCVSに脳梗塞を合併し神経学的後遺症が残存した小児例を経験したので報告する.患者は13歳男子で,雷鳴頭痛と嘔気,構音障害,左上下肢麻痺で発症した.頭部MRI検査で右淡蒼球から放線冠の一部にかけて急性期脳梗塞を認め,頭部MRA検査や脳血管造影検査で多発分節状の血管壁不整や狭窄を認めたため,脳梗塞を合併したRCVSと診断した.ベラパミルの内服に...

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Veröffentlicht in:日本小児放射線学会雑誌 2020, Vol.36(2), pp.153-158
Hauptverfasser: 野村, 直宏, 野田, 幸弘, 北尾, 哲也, 木全, 貴久, 辻, 章志, 金子, 一成
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome; RCVS)は,雷鳴頭痛を特徴とし脳血管に可逆性の分節状攣縮を認める.予後は一般的に良好だが,脳実質障害を合併することもある.今回,筆者らはRCVSに脳梗塞を合併し神経学的後遺症が残存した小児例を経験したので報告する.患者は13歳男子で,雷鳴頭痛と嘔気,構音障害,左上下肢麻痺で発症した.頭部MRI検査で右淡蒼球から放線冠の一部にかけて急性期脳梗塞を認め,頭部MRA検査や脳血管造影検査で多発分節状の血管壁不整や狭窄を認めたため,脳梗塞を合併したRCVSと診断した.ベラパミルの内服により,頭痛と画像所見は改善したが,左手指の固縮,および感覚障害が残存した.脳梗塞を合併した小児RCVS既報例を検討した結果,男性に多く,多発脳梗塞をきたす傾向があった.以上から,小児においても雷鳴頭痛を主訴とする小児の鑑別疾患としてRCVSを考慮し,画像検査を繰り返し行うことが重要であると思われた.
ISSN:0918-8487
2432-4388
DOI:10.20844/jspr.36.2_153