術前鑑別診断に苦慮した胸腺原発血管脂肪腫の一例

11歳,女児.8歳時に胸部X線検査で腫瘤影を指摘された.CTでは前縦隔右側から心臓右縁にかけて44 × 32 mmの腫瘤を認め,周囲の組織との境界は明瞭で,石灰化は観察されず,明らかな造影効果は認めなかった.MRIでは,T1強調画像(WI)で中間信号があり,T2-WIで低信号から高信号が混在していた.明らかな脂肪成分は認めなかった.血管造影で右内胸動脈から腫瘤への流入血管および上大静脈への複数の流出血管を認めた.PETでは,有意な取り込みを認めなかった.以上の結果から,肺葉外肺分画症を第一に考え,無症状であり,経過観察の方針とした.しかし11歳時のCTで67 × 49 mmと腫瘤の増大,および...

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Veröffentlicht in:日本小児放射線学会雑誌 2019, Vol.35(2), pp.126-132
Hauptverfasser: 石井, 大介, 宮本, 和俊, 宮城, 久之, 平澤, 雅敏, 高林, 江里子, 櫻井, 由香里, 鳥海, 尚久, 更科, 岳大
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:11歳,女児.8歳時に胸部X線検査で腫瘤影を指摘された.CTでは前縦隔右側から心臓右縁にかけて44 × 32 mmの腫瘤を認め,周囲の組織との境界は明瞭で,石灰化は観察されず,明らかな造影効果は認めなかった.MRIでは,T1強調画像(WI)で中間信号があり,T2-WIで低信号から高信号が混在していた.明らかな脂肪成分は認めなかった.血管造影で右内胸動脈から腫瘤への流入血管および上大静脈への複数の流出血管を認めた.PETでは,有意な取り込みを認めなかった.以上の結果から,肺葉外肺分画症を第一に考え,無症状であり,経過観察の方針とした.しかし11歳時のCTで67 × 49 mmと腫瘤の増大,および上大静脈圧排を認めた.またMRIではT1およびT2-WIで腫瘤内部に高信号を示す嚢胞構造を認めた.摘出術の方針とし,胸骨正中切開でアプローチ,腫瘍摘出術(胸腺合併切除)を施行した.病理学的診断は胸腺原発血管脂肪腫であり,悪性所見は認めなかった.
ISSN:0918-8487
2432-4388
DOI:10.20844/jspr.35.2_126