頭蓋骨線状骨折後にくも膜下腔の拡大を伴う頭蓋内圧亢進をきたした一幼児例

「はじめに」小児の外傷では頭部打撲の頻度が高く, 頭蓋骨が成人に比して薄いため, 骨折を生じやすい. 小児の頭蓋骨骨折における線状骨折の頻度は高く, 75%を占める. 頭蓋骨線状骨折は, 頭蓋内損傷を伴わなければ, 通常3 - 6か月程度で骨折線が消失する. 頭蓋内合併症をきたす頻度は低く, 頭蓋内圧亢進や水頭症の報告は非常に稀である. 今回, 頭蓋内損傷を伴わない頭蓋骨線状骨折後に, くも膜下腔の拡大を伴う頭蓋内圧亢進をきたした例を経験した. 「症例」症例は, 周産期歴・発達歴に異常のない1歳3か月の女児. 父が河原で走りだした児を抱きかかえた際にバランスを崩して後方に転倒し, 児は地面にあ...

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Veröffentlicht in:日本小児放射線学会雑誌 2019, Vol.35(1), pp.66-70
Hauptverfasser: 富田, 慶一, 鉄原, 健一, 辻, 聡, 堤, 義之, 宇佐美, 憲一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」小児の外傷では頭部打撲の頻度が高く, 頭蓋骨が成人に比して薄いため, 骨折を生じやすい. 小児の頭蓋骨骨折における線状骨折の頻度は高く, 75%を占める. 頭蓋骨線状骨折は, 頭蓋内損傷を伴わなければ, 通常3 - 6か月程度で骨折線が消失する. 頭蓋内合併症をきたす頻度は低く, 頭蓋内圧亢進や水頭症の報告は非常に稀である. 今回, 頭蓋内損傷を伴わない頭蓋骨線状骨折後に, くも膜下腔の拡大を伴う頭蓋内圧亢進をきたした例を経験した. 「症例」症例は, 周産期歴・発達歴に異常のない1歳3か月の女児. 父が河原で走りだした児を抱きかかえた際にバランスを崩して後方に転倒し, 児は地面にあった石で後頭部を打撲した. その後, 嘔吐と傾眠が出現し, 受傷の約30分後に当院救急外来を受診した. 来院時, 意識レベルは Glasgow Coma Scale (GCS)E3V3M5であり, 嘔吐を繰り返していた.
ISSN:0918-8487
2432-4388
DOI:10.20844/jspr.35.1_66