脳卒中後の麻痺の回復過程における同側性下行路の役割
脳は, 従来考えられていた以上に可塑性を有し, 脳損傷後の機能回復に関わることが報告されている. 中でも近年, 脳卒中後の麻痺の回復メカニズムの1つとして, 非損傷半球の関与が示唆されている. さらに, 脳卒中片麻痺(cerebrovascular attack;以下, CVA)患者の麻痺の回復には, 非損傷半球からの同側性下行路の役割が重要な因子と考えられている. しかし, その詳細については明らかではない. そこで本研究は, 単発の経頭蓋磁気刺激装置を用いて, CVA患者の非損傷半球の活動動態と, とりわけ同側性下行路の関与について調べることを目的とした. 対象は, 軽度から重度の運動麻痺...
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Veröffentlicht in: | 脳科学とリハビリテーション 2012, Vol.12, pp.19-26 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脳は, 従来考えられていた以上に可塑性を有し, 脳損傷後の機能回復に関わることが報告されている. 中でも近年, 脳卒中後の麻痺の回復メカニズムの1つとして, 非損傷半球の関与が示唆されている. さらに, 脳卒中片麻痺(cerebrovascular attack;以下, CVA)患者の麻痺の回復には, 非損傷半球からの同側性下行路の役割が重要な因子と考えられている. しかし, その詳細については明らかではない. そこで本研究は, 単発の経頭蓋磁気刺激装置を用いて, CVA患者の非損傷半球の活動動態と, とりわけ同側性下行路の関与について調べることを目的とした. 対象は, 軽度から重度の運動麻痺を呈した脳卒中片麻痺患者群7名(以下, CVA群)と健常者群7名(以下, Control群)とした. CVA群では非損傷半球を, Control群では左半球を頭皮上から磁気刺激し, 上腕二頭筋の運動誘発電位を記録した. その結果, CVA群の対側性運動誘発電位はControl群と比べ有意に大きかった. また, 同側性運動誘発電位(ipsilateral motor evoked potential;以下, ipsMEP)はCVA群, Control群とも7名中4名に出現した. このことから, CVA群の非損傷半球運動皮質が高い活性化を示し, さらに, 同側性下行路が出現したことより, 半球間抑制の不均衡が生じた神経活動を反映したものと推察される. 加えて, ipsMEPの出現した4名のCVA患者は軽度麻痺に分類された症例であった. そのため, 機能回復に同側性下行路が関与する可能性が推察される. |
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ISSN: | 1349-0044 2432-3489 |
DOI: | 10.24799/jrn.120301 |