肺原発と考えられた成人T細胞白血病・リンパ腫の1例

背景.肺原発の悪性リンパ腫は,肺原発悪性腫瘍の0.5~1%,そのうちB細胞リンパ腫が70~80%を占めるため,T細胞リンパ腫は稀である.症例.80歳代女性が3週間続く呼吸困難を主訴に近医受診,胸部単純X線写真にて左上肺野に浸潤影があり,精査加療目的に当院紹介受診した.胸腹部造影CTにて左上葉にリンパ節と一塊になった腫瘤を認め,気管分岐下リンパ節,対側肺門部リンパ節,さらに膵周囲リンパ節の腫大があり,確定診断目的に気管支鏡検査を施行した.内腔所見として左上葉支の圧排性狭窄,上皮下血管の拡張がみられ,左上支で経気管支生検を施行,病理組織学的所見として間質に多数の小型リンパ球浸潤が認められ,免疫染色...

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Veröffentlicht in:気管支学 2023/11/25, Vol.45(6), pp.419-424
Hauptverfasser: 石井, 達也, 瓜生, 拓夢, 神宮, 達也, 堂阪, 啓起, 仲田, 庄志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺原発の悪性リンパ腫は,肺原発悪性腫瘍の0.5~1%,そのうちB細胞リンパ腫が70~80%を占めるため,T細胞リンパ腫は稀である.症例.80歳代女性が3週間続く呼吸困難を主訴に近医受診,胸部単純X線写真にて左上肺野に浸潤影があり,精査加療目的に当院紹介受診した.胸腹部造影CTにて左上葉にリンパ節と一塊になった腫瘤を認め,気管分岐下リンパ節,対側肺門部リンパ節,さらに膵周囲リンパ節の腫大があり,確定診断目的に気管支鏡検査を施行した.内腔所見として左上葉支の圧排性狭窄,上皮下血管の拡張がみられ,左上支で経気管支生検を施行,病理組織学的所見として間質に多数の小型リンパ球浸潤が認められ,免疫染色にてCD3(+),CD4(+),CD8(-),CD20(-)であり,T細胞リンパ腫と診断した.ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type-1:HTLV-1)抗体陽性であり成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)を疑ったが,生検組織のHTLV-1プロウイルスDNAは陰性であった.他院の血液内科に紹介,受診時に左胸水を認め胸水からATL細胞が検出されたためATLリンパ腫型と診断した.シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,およびプレドニゾロン(CHOP)療法が奏効した.結論.ATLのリンパ腫型は予後不良であり,気管支鏡検査にて迅速に診断の足掛かりを得て,早急な治療が可能であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.45.6_419