胸腔と交通する傍気管囊胞の1例

背景.傍気管囊胞(paratracheal air cyst:PTAC)は,放射線診断学的に傍気管部の軟部組織におけるair densityの囊胞構造物の総称を指す.傍気管囊胞の12.9~16.6%で気管と交通があるとされるが,これまで胸腔と交通を認めた傍気管囊胞の報告はない.症例.25歳男性.7年前に他院で左自然気胸に対して肺囊胞切除術を施行された.今回,右胸痛を主訴に当院救急外来に搬送され,胸部CTより右緊張性気胸の診断で,胸腔ドレナージを開始した.その後もエアリークが持続するため,翌日肺囊胞切除術を施行した.術中,胸頂部に2~5 mm大の4つの小孔を認めた.入院時の胸部CTを見返すと気管...

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Veröffentlicht in:気管支学 2021/09/25, Vol.43(5), pp.530-534
Hauptverfasser: 田中, 秀和, 森, 毅, 日隈, 大徳, 松島, 遼平, 後藤, 由比古, 彌永, 和宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.傍気管囊胞(paratracheal air cyst:PTAC)は,放射線診断学的に傍気管部の軟部組織におけるair densityの囊胞構造物の総称を指す.傍気管囊胞の12.9~16.6%で気管と交通があるとされるが,これまで胸腔と交通を認めた傍気管囊胞の報告はない.症例.25歳男性.7年前に他院で左自然気胸に対して肺囊胞切除術を施行された.今回,右胸痛を主訴に当院救急外来に搬送され,胸部CTより右緊張性気胸の診断で,胸腔ドレナージを開始した.その後もエアリークが持続するため,翌日肺囊胞切除術を施行した.術中,胸頂部に2~5 mm大の4つの小孔を認めた.入院時の胸部CTを見返すと気管右側後方に10 mm大のfree air spaceを認め,術中所見とあわせて傍気管囊胞が胸腔と交通していると考えた.結語.今回認めた傍気管囊胞は,7年前の胸部CTで認められず,後天的な成因が示唆され,気胸との関連も考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.5_530