デンタルインプラント体による気管支異物の1例

背景.歯科治療に伴う気道異物は多数報告されているが,これまでにデンタルインプラント体による気管支異物の報告はない.症例.79歳,男性.膵頭部がんに対して化学療法実施目的で入院中に,夜間突然発熱と咳嗽が出現した.翌日の胸部X線写真で右気管支内にネジ様の構造物を認めた.右門歯部のインプラント体が根元から脱落しており,これを誤嚥したと考えられた.症状がないため,異物鉗子を準備し翌日異物除去を試みる方針としたが,翌日未明に咳嗽とともに誤嚥したインプラント体が喀出された.インプラント体は磁性体であった.結論.喀出されたインプラント体は約20年前に埋入され,長年の使用,メンテナンス不良,糖尿病などを背景に...

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Veröffentlicht in:気管支学 2020/09/25, Vol.42(5), pp.375-379
Hauptverfasser: 森永, 大亮, 須甲, 憲明, 大橋, 洋介, 服部, 健史, 本間, 直健
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.歯科治療に伴う気道異物は多数報告されているが,これまでにデンタルインプラント体による気管支異物の報告はない.症例.79歳,男性.膵頭部がんに対して化学療法実施目的で入院中に,夜間突然発熱と咳嗽が出現した.翌日の胸部X線写真で右気管支内にネジ様の構造物を認めた.右門歯部のインプラント体が根元から脱落しており,これを誤嚥したと考えられた.症状がないため,異物鉗子を準備し翌日異物除去を試みる方針としたが,翌日未明に咳嗽とともに誤嚥したインプラント体が喀出された.インプラント体は磁性体であった.結論.喀出されたインプラント体は約20年前に埋入され,長年の使用,メンテナンス不良,糖尿病などを背景に脱落した.デンタルインプラントを埋入した患者が高齢化を迎え,気管支異物として遭遇する機会の増加が予想される.今後,磁石鉗子を含めた処置具の工夫が必要と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.5_375