経気管支肺生検により生前診断に至った胃粘膜癌による肺腫瘍塞栓症の1剖検例

背景.肺腫瘍塞栓症は,生前診断が難しいとされている.生前に早期に診断することで,予後を改善できた報告もあり,生検による診断は重要と考えられる.症例.55歳,女性.数カ月の経過で増悪する乾性咳嗽と呼吸困難のため当科を受診された.胸部CT検査で両側肺野にびまん性すりガラス影が認められ,精査加療目的に入院となった.経気管支肺生検にて腺癌の所見を認め,同時に肺高血圧症の合併が認められたため肺腫瘍塞栓症と臨床的に診断した.化学療法による治療を予定したが,病状の進行が速く,入院第18病日に呼吸不全で死亡した.剖検にて,胃粘膜癌による肺腫瘍塞栓症と診断した.結論.今回,治療には結びつかなかったが,肺腫瘍塞栓...

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Veröffentlicht in:気管支学 2019/05/25, Vol.41(3), pp.239-244
Hauptverfasser: 伊藤, 浩, 久賀, 孝郎, 笠原, 千夏, 春田, 由貴, 森山, 裕紀子, 横井, 英人, 町田, 和彦, 松尾, 正樹, 加藤, 一夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺腫瘍塞栓症は,生前診断が難しいとされている.生前に早期に診断することで,予後を改善できた報告もあり,生検による診断は重要と考えられる.症例.55歳,女性.数カ月の経過で増悪する乾性咳嗽と呼吸困難のため当科を受診された.胸部CT検査で両側肺野にびまん性すりガラス影が認められ,精査加療目的に入院となった.経気管支肺生検にて腺癌の所見を認め,同時に肺高血圧症の合併が認められたため肺腫瘍塞栓症と臨床的に診断した.化学療法による治療を予定したが,病状の進行が速く,入院第18病日に呼吸不全で死亡した.剖検にて,胃粘膜癌による肺腫瘍塞栓症と診断した.結論.今回,治療には結びつかなかったが,肺腫瘍塞栓症を生前に診断し,治療することで予後が改善できる可能性があり,生検による病理診断は重要である.経気管支肺生検は,肺腫瘍塞栓症の診断手段の1つとして有用である可能性が示唆された.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.3_239