珪肺リンパ節症による食道縦隔瘻の1例

背景.珪肺症によるリンパ節症は,良性食道気管支瘻のまれな原因の一つである.今回我々は,上部消化管内視鏡下に採取した生検組織に肉芽腫を認め,抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査(IGRA)陽性で結核性リンパ節炎による食道縦隔瘻との鑑別を要した珪肺リンパ節症を経験したので,報告する.症例.75歳,男性.慢性C型肝炎があり,食道静脈瘤のスクリーニングで行った上部消化管内視鏡検査で食道に潰瘍性病変を認めた.造影CTでは縦隔リンパ節の多発腫大を認め,食道との交通所見を認めた.上部消化管内視鏡下生検を計5回施行されるも生検組織に悪性所見を認めず,肉芽腫を認めた.IGRA陽性であり結核が疑われたが,PCR...

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Veröffentlicht in:気管支学 2017/09/25, Vol.39(5), pp.424-429
Hauptverfasser: 川上, 直樹, 安東, 敬大, 大川, 宙太, 山名, 高志, 西山, 直樹, 若井, 陽子, 齊藤, 和人, 小貫, 琢哉, 稲垣, 雅春
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.珪肺症によるリンパ節症は,良性食道気管支瘻のまれな原因の一つである.今回我々は,上部消化管内視鏡下に採取した生検組織に肉芽腫を認め,抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査(IGRA)陽性で結核性リンパ節炎による食道縦隔瘻との鑑別を要した珪肺リンパ節症を経験したので,報告する.症例.75歳,男性.慢性C型肝炎があり,食道静脈瘤のスクリーニングで行った上部消化管内視鏡検査で食道に潰瘍性病変を認めた.造影CTでは縦隔リンパ節の多発腫大を認め,食道との交通所見を認めた.上部消化管内視鏡下生検を計5回施行されるも生検組織に悪性所見を認めず,肉芽腫を認めた.IGRA陽性であり結核が疑われたが,PCR法や培養検査陰性であり診断はつかなかった.外科的胸腔鏡下縦隔リンパ節生検を行い,珪肺によるリンパ節症が食道縦隔瘻を来したものと診断した.その後経過観察のみで瘻孔は閉鎖した.結語.結核との鑑別を要した珪肺リンパ節症による食道縦隔瘻の1例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.5_424