胸腔鏡下胸膜生検にて診断しえた広範な胸膜進展を伴うEGFR陽性偽中皮腫性肺癌の1例

背景.肺癌の胸膜転移は必ずしも稀な転移形態ではないが,稀に偽中皮腫性肺癌とよばれるびまん性の中皮腫様の胸膜進展例を示すことがある.同症例の胸水細胞診が陰性例では胸腔鏡下生検が診断に有用である.今回我々は胸膜中皮腫や結核性胸膜炎との鑑別を要し,胸腔鏡検査にて診断しえた,広範な胸膜進展を伴うEGFR陽性偽中皮腫性肺癌の1例を経験したので報告する.症例.64歳,男性.右胸痛を主訴に近医を受診し,胸部X線写真にて右胸水貯留を指摘され当科へ紹介された.胸部CTでは右上中肺野中心に多発する結節影と,著明な胸郭変形を伴う胸膜肥厚,胸水貯留が認められた.Positron-emission tomography...

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Veröffentlicht in:気管支学 2016/05/25, Vol.38(3), pp.183-189
Hauptverfasser: 高原, 豊, 西木, 一哲, 中瀬, 啓介, 加藤, 諒, 四宮, 祥平, 齋藤, 雅俊, 小島, 好司, 藤本, 由貴, 中川, 研, 及川, 卓, 水野, 史朗, 長内, 和弘, 栂, 博久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景.肺癌の胸膜転移は必ずしも稀な転移形態ではないが,稀に偽中皮腫性肺癌とよばれるびまん性の中皮腫様の胸膜進展例を示すことがある.同症例の胸水細胞診が陰性例では胸腔鏡下生検が診断に有用である.今回我々は胸膜中皮腫や結核性胸膜炎との鑑別を要し,胸腔鏡検査にて診断しえた,広範な胸膜進展を伴うEGFR陽性偽中皮腫性肺癌の1例を経験したので報告する.症例.64歳,男性.右胸痛を主訴に近医を受診し,胸部X線写真にて右胸水貯留を指摘され当科へ紹介された.胸部CTでは右上中肺野中心に多発する結節影と,著明な胸郭変形を伴う胸膜肥厚,胸水貯留が認められた.Positron-emission tomography with 18F-fluorodeoxyglucose(FDG-PET)では,右上葉の腫瘤影に一致した高度のFDG集積を認め,右胸膜にも淡い集積が認められた.全身麻酔下に胸腔鏡下右胸膜生検が施行された.胸膜生検の結果,組織学的に腺癌であり,胸壁への浸潤より偽中皮腫性肺癌と診断した.Epidermal growth factor receptor(EGFR)遺伝子のexon19に欠失を認め,一次治療でゲフィチニブ投与を開始したところ原発巣の縮小が認められた.現在もゲフィチニブ継続中で十分な病勢のコントロールと良好なperformance status(PS)を維持している.結論.著明な胸郭変形を伴う偽中皮腫性肺癌において,胸腔鏡検査は分子標的薬の適応を考慮するうえでも重要であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.38.3_183