気管支胸腔瘻を併発した肺放線菌症の1例

背景.肺放線菌症では皮膚胸腔瘻の報告は散見されるが,気管支胸腔瘻を併発した例は稀である.症例.70歳男性.約50年前に肺結核のため右肺中下葉を切除.湿性咳嗽を主訴とし,胸部X線写真で右上葉に空洞を伴う浸潤影を指摘され,当初は肺結核の再燃が疑われた.気管支鏡検査では右B6の切除後断端に白苔を認め,同部位からの生検で放線菌症と診断した.Sulbactam/Ampicillinの投与により改善するも,その後喀血し,気管支動脈塞栓術を行った.治療開始1年後の気管支鏡検査では,右B6は白苔が消失し,B6とB2の内腔は拡張して気管支胸腔瘻を形成し,胸腔内に灰色の菌体組織を確認した.抗菌薬の治療は40か月間...

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Veröffentlicht in:気管支学 2016/01/25, Vol.38(1), pp.26-31
Hauptverfasser: 松井, 秀記, 押谷, 洋平, 上浪, 健, 矢野, 幸洋, 米田, 勉, 好村, 研二, 三木, 啓資, 北田, 清悟, 森, 雅秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺放線菌症では皮膚胸腔瘻の報告は散見されるが,気管支胸腔瘻を併発した例は稀である.症例.70歳男性.約50年前に肺結核のため右肺中下葉を切除.湿性咳嗽を主訴とし,胸部X線写真で右上葉に空洞を伴う浸潤影を指摘され,当初は肺結核の再燃が疑われた.気管支鏡検査では右B6の切除後断端に白苔を認め,同部位からの生検で放線菌症と診断した.Sulbactam/Ampicillinの投与により改善するも,その後喀血し,気管支動脈塞栓術を行った.治療開始1年後の気管支鏡検査では,右B6は白苔が消失し,B6とB2の内腔は拡張して気管支胸腔瘻を形成し,胸腔内に灰色の菌体組織を確認した.抗菌薬の治療は40か月間で中止し,その後病状の悪化はない.結論.肺放線菌症で気管支胸腔瘻を生じる経過を追えた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.38.1_26