気管分岐部に発生した腺様嚢胞癌に対して気管支フラップを用いた再建術を施行した1例 : 竜骨を温存した気管支再建術

背景.気管腺様嚢胞癌は稀な悪性腫瘍で,気管ならびに気管支に発生することもある.根治的治療として外科的切除が施行されるが,サイズや発生部位,また腫瘍の粘膜下伸展により手術手技は困難となる.我々は,気管外側から右主気管支にかけて発生した腺様嚢胞癌に対して,切除後の欠損部に右主気管支をフラップとして再建した術式を施行した.本術式は安全かつ容易に気管欠損部を閉鎖することが可能である.症例.症例は59歳女性.健診異常にて来院.気管支鏡検査では腫瘍が気管分岐部レベルの右側壁から右主気管支に伸展しており,気管腺様嚢胞癌の診断となった.手術は右主気管を含め気管右外側を切除した.再建は右上葉主気管支をフラップ状...

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Veröffentlicht in:気管支学 2015/11/25, Vol.37(6), pp.666-671
Hauptverfasser: 渡邉, 文亮, 高尾, 仁二, 天白, 宏典, 伊藤, 健太郎, 内藤, 雅大, 大井, 牧, 畑地, 治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.気管腺様嚢胞癌は稀な悪性腫瘍で,気管ならびに気管支に発生することもある.根治的治療として外科的切除が施行されるが,サイズや発生部位,また腫瘍の粘膜下伸展により手術手技は困難となる.我々は,気管外側から右主気管支にかけて発生した腺様嚢胞癌に対して,切除後の欠損部に右主気管支をフラップとして再建した術式を施行した.本術式は安全かつ容易に気管欠損部を閉鎖することが可能である.症例.症例は59歳女性.健診異常にて来院.気管支鏡検査では腫瘍が気管分岐部レベルの右側壁から右主気管支に伸展しており,気管腺様嚢胞癌の診断となった.手術は右主気管を含め気管右外側を切除した.再建は右上葉主気管支をフラップ状に形成し,軟骨部は3-0 Maxon糸の単結紮縫合,膜様部は連続縫合で再建した.術後24日の気管支鏡検査では吻合部の血流は良好であった.結語.気管から主気管支にかけての分岐部再建は感染,縫合不全,残存肺の偏移,そして吻合部狭窄と様々な致死的合併症が発生する可能性がある.本法は,安全かつ効果的に欠損部を閉鎖可能であり,一旦気管支を完全離断してからの端々吻合が高リスクな際に特に有効な術式と考えた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.37.6_666