喉頭癌治療後に顕在化し,再発性多発軟骨炎が疑われた1例

背景.再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis:RPC)とは全身の軟骨組織,特に耳介,鼻,気管に慢性炎症と変性をきたす比較的稀な疾患である.その原因としては,自己免疫学的な機序が疑われているが,明らかではない.症例.80歳男性,喉頭癌に対し喉頭全摘術が施行された.術後に放射線照射が行われたが,照射終了後より呼吸困難感と喘鳴が出現したため,当科を紹介された.ステロイドの短期治療による症状の一時的な改善と,休薬後の再燃を繰り返すため,精査目的に当科に入院となった.胸部CTでは広範囲に気管気管支壁の肥厚と内腔の虚脱が認められ,気管支内視鏡検査では気管粘膜の全周性の発赤,気管...

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Veröffentlicht in:気管支学 2014/07/25, Vol.36(4), pp.368-373
Hauptverfasser: 福原, 敦朗, 大島, 謙吾, 谷野, 功典, 峯村, 浩之, 二階堂, 雄文, 石井, 妙子, 佐藤, 俊, 横内, 浩, 金沢, 賢也, 石田, 卓, 棟方, 充
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景.再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis:RPC)とは全身の軟骨組織,特に耳介,鼻,気管に慢性炎症と変性をきたす比較的稀な疾患である.その原因としては,自己免疫学的な機序が疑われているが,明らかではない.症例.80歳男性,喉頭癌に対し喉頭全摘術が施行された.術後に放射線照射が行われたが,照射終了後より呼吸困難感と喘鳴が出現したため,当科を紹介された.ステロイドの短期治療による症状の一時的な改善と,休薬後の再燃を繰り返すため,精査目的に当科に入院となった.胸部CTでは広範囲に気管気管支壁の肥厚と内腔の虚脱が認められ,気管支内視鏡検査では気管粘膜の全周性の発赤,気管内腔の狭窄,両側主気管支内腔の虚脱も確認され,早期のRPCを疑った.ステロイド治療を長期間継続したところ,呼吸困難感と喘鳴並びに運動耐容能の改善が認められた.結語.喉頭癌の手術による侵襲もしくは放射線治療によって顕在化し,RPCが疑われた1例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.4_368