乳び腹水,乳び胸水を契機に発見された悪性中皮腫の1例
背景.従来,悪性中皮腫に乳び胸水,腹水を合併した例の報告は稀である.我々は乳び胸水,腹水で発症し局所麻酔下胸腔鏡検査による病理組織学的検査が診断の一助となった悪性中皮腫の1例を経験したので,報告する.症例.59歳,男性.職業は元大工,現在トラック運転手で石綿曝露歴あり.腹部膨満感と下腿の浮腫が出現し,他院を受診した.腹水穿刺したところ乳び腹水を認め,原因精査および加療目的で当院紹介受診となった.当院受診時には両側胸水,腹水,右頸部リンパ節腫脹を認め,胸水穿刺では乳び胸水がみられた.右頸部リンパ節生検の病理所見から悪性中皮腫が考えられた.左胸腔に対する局所麻酔下胸腔鏡検査では壁側胸膜小隆起病変が...
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Veröffentlicht in: | 気管支学 2014/05/25, Vol.36(3), pp.233-238 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景.従来,悪性中皮腫に乳び胸水,腹水を合併した例の報告は稀である.我々は乳び胸水,腹水で発症し局所麻酔下胸腔鏡検査による病理組織学的検査が診断の一助となった悪性中皮腫の1例を経験したので,報告する.症例.59歳,男性.職業は元大工,現在トラック運転手で石綿曝露歴あり.腹部膨満感と下腿の浮腫が出現し,他院を受診した.腹水穿刺したところ乳び腹水を認め,原因精査および加療目的で当院紹介受診となった.当院受診時には両側胸水,腹水,右頸部リンパ節腫脹を認め,胸水穿刺では乳び胸水がみられた.右頸部リンパ節生検の病理所見から悪性中皮腫が考えられた.左胸腔に対する局所麻酔下胸腔鏡検査では壁側胸膜小隆起病変がみられ,その生検で右頸部リンパ節生検結果と同様の病理所見を認め中皮腫と診断した.診断後,胸水,腹水のコントロールを行いその後ペメトレキセドによる全身化学療法を行ったが症状の改善がなく,永眠された.結論.非外傷性の乳び胸水,腹水を認めた場合は原因として悪性腫瘍の検索を行う際に悪性中皮腫も鑑別診断として念頭に置く必要がある. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.36.3_233 |