防水スプレー吸入による肺障害が遷延した1例

背景.防水スプレーの吸入による肺障害は多くの例で数日内に自然軽快するとされている.今回ステロイドによる治療を要し,その後も呼吸不全が遷延した症例を経験したので報告する.症例.49歳男性.換気の悪い室内で防水スプレーを使用し,その直後から呼吸困難が出現したが,さらに喫煙を行った.症状が増悪したため当院を受診し,低酸素血症と胸部CTで両側肺野のすりガラス状陰影と気腫性変化を認め,入院となった.気管支鏡検査を行い,気管支肺胞洗浄液の細胞分画で好中球が50.0%と増加していた.防水スプレー吸入による肺障害と診断し,高度の低酸素血症が認められたため,酸素投与とステロイドパルス療法を行った.その後Pred...

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Veröffentlicht in:気管支学 2014/01/25, Vol.36(1), pp.78-82
Hauptverfasser: 清水, 郷子, 芝, 靖貴, 田ノ上, 雅彦, 榊原, 理江, 瀬間, 学, 田中, 有紀子, 河崎, 勉, 遠藤, 順治, 中村, 陽一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.防水スプレーの吸入による肺障害は多くの例で数日内に自然軽快するとされている.今回ステロイドによる治療を要し,その後も呼吸不全が遷延した症例を経験したので報告する.症例.49歳男性.換気の悪い室内で防水スプレーを使用し,その直後から呼吸困難が出現したが,さらに喫煙を行った.症状が増悪したため当院を受診し,低酸素血症と胸部CTで両側肺野のすりガラス状陰影と気腫性変化を認め,入院となった.気管支鏡検査を行い,気管支肺胞洗浄液の細胞分画で好中球が50.0%と増加していた.防水スプレー吸入による肺障害と診断し,高度の低酸素血症が認められたため,酸素投与とステロイドパルス療法を行った.その後Prednisoloneの内服を行い,発症2週間後の胸部CTですりガラス状陰影は改善していたが,新たに気管支壁の肥厚とその周囲の浸潤影,および小葉間隔壁の肥厚を認めた.Prednisoloneの内服を続け,入院2カ月後に酸素投与の中止に至り,胸部CTでは陰影は改善し,気腫性変化のみ残存した.結論.本例では,防水スプレー吸入直後に喫煙をしたことが病状を重篤化させ,背景に高度の気腫性変化を有したことが肺障害を遷延させた要因と推測された.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.1_78