びまん性肺胞傷害を認めたテムシロリムスによる薬剤性肺障害の1例

背景. mTOR阻害薬であるテムシロリムスは,進行期腎細胞癌において治療効果の期待できる数少ない薬剤のひとつであるが,副作用として間質性肺炎を発症することが知られている.症例. 52歳男性.進行期腎細胞癌に対してテムシロリムス投与後44日目に労作時の呼吸困難が出現し,間質性肺炎と診断された.胸部CTで両肺下葉を主体とした非区域性の浸潤影を広範囲に認め,経気管支肺生検でびまん性肺胞傷害(DAD)の所見を示した.ステロイドによる治療でコントロール可能であったが,肺の線維化が残存し,慢性呼吸不全の状態に至った.結論.本邦におけるテムシロリムスによる薬剤性肺障害の報告は少ないが,今後使用症例の増加が予...

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Veröffentlicht in:気管支学 2012/11/25, Vol.34(6), pp.568-572
Hauptverfasser: 尾形, 朋之, 土屋, 公威, 園田, 史朗, 山内, 秀太, 石塚, 聖洋, 根井, 雄一郎, 藤江, 俊秀, 稲瀬, 直彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景. mTOR阻害薬であるテムシロリムスは,進行期腎細胞癌において治療効果の期待できる数少ない薬剤のひとつであるが,副作用として間質性肺炎を発症することが知られている.症例. 52歳男性.進行期腎細胞癌に対してテムシロリムス投与後44日目に労作時の呼吸困難が出現し,間質性肺炎と診断された.胸部CTで両肺下葉を主体とした非区域性の浸潤影を広範囲に認め,経気管支肺生検でびまん性肺胞傷害(DAD)の所見を示した.ステロイドによる治療でコントロール可能であったが,肺の線維化が残存し,慢性呼吸不全の状態に至った.結論.本邦におけるテムシロリムスによる薬剤性肺障害の報告は少ないが,今後使用症例の増加が予想され注意が必要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.6_568