56. PET検査所見の判断に迷った肺多発陰影の1例

FDGPETは肺癌の再発や病期診断に優れており, 縦隔・肺門リンパ節診断能はX線, CTよりもFDGPETの方が優れているとの報告が多い. ただしリンパ節転移の感度は高いが特異度は低いとの報告もありその良悪性判断には慎重を要する. 今回我々はFDGPET陽性の両側多発肺陰影及び縦隔・肺門リンパ節腫脹を有する症例を経験したのでその経過を文献的考察を含めて報告する. 症例は83歳女性. 検診にて胸部異常陰影を指摘され前医受診. 胸部CTにて両側上中葉に多発陰影を認め, 縦隔リンパ節腫大を有していた. 当初は肺非結核性抗酸菌症を疑われ経過をみられていたが, 一部の陰影が増大するとのことで精査目的に紹...

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Veröffentlicht in:気管支学 2011, Vol.33 (3), p.207-207
Hauptverfasser: 濱田昇, 石賀充典, 高橋秀治, 山中隆夫, 金澤聡, 河田典子, 多田敦彦, 宗田良, 多田龍平, 牧原重喜
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:FDGPETは肺癌の再発や病期診断に優れており, 縦隔・肺門リンパ節診断能はX線, CTよりもFDGPETの方が優れているとの報告が多い. ただしリンパ節転移の感度は高いが特異度は低いとの報告もありその良悪性判断には慎重を要する. 今回我々はFDGPET陽性の両側多発肺陰影及び縦隔・肺門リンパ節腫脹を有する症例を経験したのでその経過を文献的考察を含めて報告する. 症例は83歳女性. 検診にて胸部異常陰影を指摘され前医受診. 胸部CTにて両側上中葉に多発陰影を認め, 縦隔リンパ節腫大を有していた. 当初は肺非結核性抗酸菌症を疑われ経過をみられていたが, 一部の陰影が増大するとのことで精査目的に紹介となる. 増大する右上葉陰影に対し気管支鏡検査を行ったところ肺腺癌と判明. 右中葉の気管支洗浄液にてGaffky 5号M.avium-PCR(+)を検出した. 病期診断のために行ったFDGPETでは両側上葉陰影及び縦隔・肺門リンパ節ともにSUV値上昇を認め遅延相にも集積が残っていた. CT所見から肺病変は同時多発癌が疑われ, 縦隔・肺門リンパ節転移の診断に関しては本人が縦隔鏡検査より手術を強く希望されたため, 右上葉切除術+ND2aを行った. 結果は肺腺癌pT1bN0M0 stage Iaとなり, 全てのリンパ節転移陰性であった. 良性疾患との併存肺癌の病期診断には慎重を要すると改めて認識させられる症例であった.
ISSN:0287-2137