7.閉塞性肺炎・胸膜炎を合併したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例(第33回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は56歳女性. 2002年より気管支喘息にて近医でフォローされていた. 2010年5月左胸痛を認めたため胸部単純X線写真を撮影したところ左中肺野異常影が増悪していた. CTでは左舌区の無気肺と舌区の気管支に沿った高吸収域を認めたため精査目的で当院へ紹介入院となった. 気管支鏡検査を施行したところ左舌区は黄色の粘液栓でほぼ閉塞していた. 粘液栓中にはCharcot-Leyden結晶やGrocott染色陽性のY字型菌糸を認め, 真菌培養にてAspergillus terreusが検出された. 末梢血抗酸球上昇, 血中アスペルギルス沈降抗体陽性, 総IgE高値, アスペルギルス特異的IgE高値な...

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Veröffentlicht in:気管支学 2010/11/25, Vol.32(6), pp.548
Hauptverfasser: 横山, 敦, 岡, 宏亮, 甲斐, 直子, 岩田, 敦子, 園田, 尚子, 吉岡, 大介, 大谷, 哲史, 橋永, 一彦, 梅木, 健二, 石井, 寛, 白井, 亮, 岸, 建志, 時松, 一成, 平松, 和史, 門田, 淳一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は56歳女性. 2002年より気管支喘息にて近医でフォローされていた. 2010年5月左胸痛を認めたため胸部単純X線写真を撮影したところ左中肺野異常影が増悪していた. CTでは左舌区の無気肺と舌区の気管支に沿った高吸収域を認めたため精査目的で当院へ紹介入院となった. 気管支鏡検査を施行したところ左舌区は黄色の粘液栓でほぼ閉塞していた. 粘液栓中にはCharcot-Leyden結晶やGrocott染色陽性のY字型菌糸を認め, 真菌培養にてAspergillus terreusが検出された. 末梢血抗酸球上昇, 血中アスペルギルス沈降抗体陽性, 総IgE高値, アスペルギルス特異的IgE高値などの所見も認め, Aspergillus terreusによるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)と診断した. しかし気管支鏡検査施行4日後に突然の左側胸部痛増強と発熱を認めたため当院再入院となった. CTにて新たな左胸水の出現を認め, 末梢血好中球数とCRPが著明に増加していたことから, 胸膜炎と診断した. 抗菌薬・抗真菌薬投与により臨床症状は軽快し, 胸水減少と炎症所見の改善を認めた. 初発の左胸部痛は無気肺の部位に一致していたことから, 粘液栓により閉塞性肺炎をきたし, 胸膜炎に発展したものと考えられた. ABPAで閉塞性肺炎や胸膜炎を合併した報告は少なく, 貴重な症例と考えられたため, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.6_548_2