気道上皮被覆液中腫瘍マーカーが高値を示した肺癌の1例

背景.肺腫瘍性病変に対する気管支鏡診断において,気道上皮被覆液(ELF)の腫瘍マーカー測定が有用であると報告されている.症例.62歳男性,検診の胸部X線写真で,異常陰影を指摘され,CTにて右S^8に35mmの腫瘤影を認めた.気管支鏡検査を施行.マイクロサンプリングプローブを用いて,腫瘍の関与する右B^8b及びその反対側である左B^8bからX線非透視下にELFを採取した.ELF中腫瘍マーカーは右B^8bで左B^8bに比しCEA, CYFRA, SLXが高値を示した.ELF採取直後にX線透視装置が故障し,経気管支肺生検・擦過細胞診が施行できずに終了した.術中迅速診断にて肺腺癌と診断され,切除された...

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Veröffentlicht in:気管支学 2008/03/25, Vol.30(2), pp.86-89
Hauptverfasser: 鳥居, 陽子, 笹野, 進, 神崎, 正人, 宮野, 裕, 小原, 徹也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺腫瘍性病変に対する気管支鏡診断において,気道上皮被覆液(ELF)の腫瘍マーカー測定が有用であると報告されている.症例.62歳男性,検診の胸部X線写真で,異常陰影を指摘され,CTにて右S^8に35mmの腫瘤影を認めた.気管支鏡検査を施行.マイクロサンプリングプローブを用いて,腫瘍の関与する右B^8b及びその反対側である左B^8bからX線非透視下にELFを採取した.ELF中腫瘍マーカーは右B^8bで左B^8bに比しCEA, CYFRA, SLXが高値を示した.ELF採取直後にX線透視装置が故障し,経気管支肺生検・擦過細胞診が施行できずに終了した.術中迅速診断にて肺腺癌と診断され,切除された.切除標本でのCEAの免疫染色は陽性であった.結論.ELF中腫瘍マーカーが高値を示し,術前診断に寄与した1例を経験した.ELF採取は,簡便かつ安全に施行でき,気管支鏡検査における診断方法の1つとして有用であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.2_86