Dumon Y-ステント留置の成績とその問題点

背景.気管分岐部病変のインターベンションは,気管および両主気管支にかかる3方向への気道内処置が必要で,術中操作および術後管理が複雑である.目的.確実性と安全性が要求されるDumon Y-ステント療法の成績と周術期の問題点を述べる.方法.対象は1999年から2006年までに気管分岐部病変に全麻硬性気管支鏡下でDumon Y-ステントを留置した20例で,内訳は肺癌11例,食道癌7例,気道損傷2例,留置期間は10日〜20ヶ月(平均4ヶ月),ステント長は50〜105mm(平均72mm)と長いものが多かった.結果.1.ステントは,狭窄解除後に分岐部に固定するが,気管狭窄が残ったり偏位が強いとステント両脚...

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Veröffentlicht in:気管支学 2007/07/25, Vol.29(4), pp.221-226
Hauptverfasser: 高木, 啓吾, 秦, 美暢, 笹本, 修一, 佐藤, 史朋, 大塚, 創, 田巻, 一義, 清水, 邦彦, 木村, 一博, 本間, 栄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景.気管分岐部病変のインターベンションは,気管および両主気管支にかかる3方向への気道内処置が必要で,術中操作および術後管理が複雑である.目的.確実性と安全性が要求されるDumon Y-ステント療法の成績と周術期の問題点を述べる.方法.対象は1999年から2006年までに気管分岐部病変に全麻硬性気管支鏡下でDumon Y-ステントを留置した20例で,内訳は肺癌11例,食道癌7例,気道損傷2例,留置期間は10日〜20ヶ月(平均4ヶ月),ステント長は50〜105mm(平均72mm)と長いものが多かった.結果.1.ステントは,狭窄解除後に分岐部に固定するが,気管狭窄が残ったり偏位が強いとステント両脚が開きにくく,固定するまでに時間がかかることがあった.2.術中出血による換気障害に伴う低酸素血症が6例(30%)にあったが,このうち5例では気管軸偏位7mm以上,または気管分岐角80°以上の高度な気道偏位を認めた.この低酸素血症は,気道内の積極的吸引により回復し補助循環は使用しなかった.3.留置後の排痰障害は8例(50%)にあり気管支鏡下吸引やトラヘルパー留置が3例に必要であったが,ステント長との関連はなかった.4.ステントを4ヶ月以上留置した8例全例で,ステント内面にMRSA,Pseudomonas aeruginosaなどの細菌叢を認めた.このことは,気道感染が遷延化したり排痰障害の誘因となる可能性があり,注意が必要である.結論.本ステント留置は気道狭窄解除に有用であったが,いくつかの問題点があげられた.ことに気道軸偏位例では留置操作の難度が高いことに加え,術中一時的低酸素血症をきたしやすいので,麻酔科医との密接な連携が重要であること,また留置後の喀痰貯留や細菌増殖に留意した慎重な経過観察が必要であることが示された.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.29.4_221