10.気管支狭窄をきたしステロイドで改善した気管支肉芽腫の1例(第27回 日本呼吸器内視鏡学会北海道支部会)

症例は59歳女性. 2005年4月より両耳下部腫脹と疹痛を認め, 近医受診するも改善を認めなかったため5月初旬当院耳鼻科紹介受診. 頸部CTで中咽頭, 喉頭の腫脹を認めWegener肉芽腫症の疑いで5月中旬当科受診. 血液検査では炎症所見に乏しく, ANCAは陰性であった. 5月下旬気管支鏡を施行し, 気管から両肺気管支にかけて多発性の肉芽腫様小隆起を認めた. 病理組織学的には好中球を主体とした炎症細胞の浸潤を認めたが血管炎やパピローマなどの特異的な所見を認めず, 確定診断には至らなかった. 耳鼻科で施行したエコー下耳下腺生検でも特徴的な所見を認めず, 両耳下腺腫脹も軽快したため6月初旬退院の...

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Veröffentlicht in:気管支学 2006/01/25, Vol.28(1), pp.77
Hauptverfasser: 吉田, 貴之, 呉屋, 裕樹, 秋江, 研志, 小倉, 滋明, 吉村, 理, 小川, 弥生, 高田, 明生, 武内, 利直
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は59歳女性. 2005年4月より両耳下部腫脹と疹痛を認め, 近医受診するも改善を認めなかったため5月初旬当院耳鼻科紹介受診. 頸部CTで中咽頭, 喉頭の腫脹を認めWegener肉芽腫症の疑いで5月中旬当科受診. 血液検査では炎症所見に乏しく, ANCAは陰性であった. 5月下旬気管支鏡を施行し, 気管から両肺気管支にかけて多発性の肉芽腫様小隆起を認めた. 病理組織学的には好中球を主体とした炎症細胞の浸潤を認めたが血管炎やパピローマなどの特異的な所見を認めず, 確定診断には至らなかった. 耳鼻科で施行したエコー下耳下腺生検でも特徴的な所見を認めず, 両耳下腺腫脹も軽快したため6月初旬退院のうえ経過観察となった. しかしながら退院2日後より呼吸困難感が出現. さらに2日後には増悪したため当院夜間外来を受診し, 当院耳鼻科に再入院となった. 6月中旬に施行した気管支鏡では前回の多発性肉芽腫の増大と気管支内腔の狭窄を認め, あきらかに増悪していたが, 病理組織学的には同様な所見であった. 気管支病変が増悪していたため6月下旬に当科転科. 翌日からプレドニゾロンを1日60mgで開始し, 呼吸困難感は速やかに改善した. 7月上旬に施行した気管支鏡では, 気管支粘膜の発赤を認めたものの肉芽腫は著明に縮小していた. 本症例では喉頭気管, 気管支内に多発性の肉芽腫様の隆起を認め, ステロイドの投与で速やかに改善したことから, 血液検査や病理組織学的には特異的な所見を認めなかったもののWegener肉芽腫症の初期病変が最も考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.28.1_77_2