高CEA血症を呈した慢性好酸球性肺炎の1例

背景. 血清CEA(carcinoembryonic antigen)は非腫瘍性肺疾患でも上昇するが, 好酸球性肺疾患における高CEA血症は稀である. 症例. 62歳男性. 1993年12月, 数ヶ月間持続する咳嗽と胸部異常陰影のため当科入院となった. 末梢血および気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多ならびに経気管支肺生検で肺胞隔壁への好酸球主体の炎症性細胞浸潤が認められた. 慢性好酸球性肺炎の診断のもと副腎皮質ステロイドが投与され, 症状ならびに検査所見は改善した. 入院時の血清CEAは15.6ng/mlと上昇していたが3.1ng/mlまで低下した. 免疫組織学的検討では気管支上皮細胞と気管支分泌...

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Veröffentlicht in:気管支学 2005/01/25, Vol.27(1), pp.65-69
Hauptverfasser: 小山田, 吉孝, 大久保, 泰之, 森, 正明, 向井, 万起男, 山口, 佳寿博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景. 血清CEA(carcinoembryonic antigen)は非腫瘍性肺疾患でも上昇するが, 好酸球性肺疾患における高CEA血症は稀である. 症例. 62歳男性. 1993年12月, 数ヶ月間持続する咳嗽と胸部異常陰影のため当科入院となった. 末梢血および気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多ならびに経気管支肺生検で肺胞隔壁への好酸球主体の炎症性細胞浸潤が認められた. 慢性好酸球性肺炎の診断のもと副腎皮質ステロイドが投与され, 症状ならびに検査所見は改善した. 入院時の血清CEAは15.6ng/mlと上昇していたが3.1ng/mlまで低下した. 免疫組織学的検討では気管支上皮細胞と気管支分泌液でCEAが陽性であった. 結論. 本症例における高CEA血症は気管支上皮細胞における異常なCEA産生に由来するものと考えられる. 血清CEA(carcinoembryonic antigen)は大腸癌をはじめ, 膵癌, 胆道癌, 肺癌, 胃癌などの悪性腫瘍で上昇する. 血清CEAは, また, 間質性肺炎, 肺胞蛋白症などの良性肺疾患でも上昇することが知られているが, 好酸球性肺疾患における高CEA血症の報告は稀である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.27.1_65